M&A用語集【か行】意味・使用例・似た用語の違い

M&A用語集|か行

2027年1月・中小企業M&A実務能力・倫理検定試験の学習に

160語+関連1語。意味・使用例・間違えやすい点をまとめています。

会計処理

かいけいしょり

会社のお金や取引の出来事を、会計のルールに従って記録し、決算書にまとめることです。たとえば商品の購入、売上の計上、設備の費用化などを扱います。

使用例

買収で取得した資産や支払った代金について、必要な会計処理を確認する。

間違えやすい点銀行口座への入出金の記録だけではありません。現金がまだ動かなくても売上や費用を記録することがあり、利益と現金残高は一致しないことがあります。

出典

中小企業庁「会計」 ↗
中小会計要領・手引き

会計統合

かいけいとうごう

M&Aの後、会社どうしの数字を正しく比べて管理できるよう、会計の方法や報告の仕組みをそろえることです。科目の使い方、締切日、必要なデータ、システムなどを調整します。

使用例

買収後の月次報告をそろえるため、会計統合の担当者と日程を決める。

間違えやすい点同じ会計ソフトを入れるだけで終わりではありません。株式取得後に別会社として残す場合と、合併で一つの会社になる場合でも、必要な作業は異なります。

出典

中小企業庁「中小PMIガイドライン」 ↗
第2章・シナジー/会計・財務の統合

外国子会社合算税制

がいこくこがいしゃがっさんぜいせい

一定の海外子会社などで生じた所得を、日本の親会社などの所得に合算して日本でも課税する仕組みです。海外の会社を使って日本の税負担を不当に軽くする行為などに対応します。

使用例

海外企業を買収する前に、現地事業の実態や所得に外国子会社合算税制が適用されるかを確認する。

間違えやすい点海外子会社の利益をすべて一律に合算する制度ではありません。現地の活動内容、所得の種類、税負担などの要件を調べます。

出典

財務省「外国子会社合算税制の概要」 ↗
会社単位・部分対象の合算課税

会社清算

かいしゃせいさん

解散した会社について、受け取るべきお金を回収し、借金などを支払い、残った財産を出資者に分ける手続です。会社を終えるために、未処理の財産関係を片付ける段階と考えると分かりやすくなります。

使用例

会社清算で、売掛金の回収と取引先への支払いを終え、残った財産を株主に分配する。

間違えやすい点売上がなくなっただけでは、清算が完了したことにはなりません。また、借金を払えるかによって利用する手続が変わる場合があります。通常の清算と、裁判所が関わる破産などを区別します。

出典

会社法 ↗
第475条以下/第481条(清算人の職務)

会社の解散

かいしゃのかいさん

会社が通常の営業活動を終え、会社を閉じるための段階へ進むことです。株主が決める場合のほか、法律上の理由で解散する場合もあります。解散を決めたその瞬間に、会社の借金や契約がすべて消えるわけではありません。

使用例

株主総会で会社の解散を決め、残った財産と支払うべきお金を調べる。

間違えやすい点解散と清算は別の段階です。通常は解散した後、売掛金の回収、借金の支払い、残った財産の分配などの清算を進めます。合併で消滅する会社では、通常の清算を行わずに権利や義務を引き継ぐ点も異なります。

出典

会社法 ↗
第471条・第475条・第476条

会社売却

かいしゃばいきゃく

会社の株式や事業を、別の人や会社に売ることを広く指す言葉です。経営者が引退するときの引継ぎや、事業を別の会社の下で成長させる目的などで行います。

使用例

後継者がいないため、従業員の雇用を引き継ぐ相手への会社売却を検討する。

間違えやすい点株式会社そのものを物のように売るわけではありません。株主が株式を売るのか、会社が事業を売るのかで、お金を受け取る人や引き継ぐ範囲が違います。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版 ↗
第1章・M&Aの手続と最終契約

会社買収

かいしゃばいしゅう

他の会社の株式や事業を買い、経営や事業運営に関わるようになることです。顧客、技術、人材などを一から作る代わりに、既にある事業を引き継ぐ方法として使われます。

使用例

新しい地域へ進出するため、その地域で営業する会社の買収を検討する。

間違えやすい点会社を買うことが、必ず合併を意味するわけではありません。株式を買った後も対象会社を別法人のまま運営する場合があり、買う対象と方法を確かめます。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版 ↗
第1章・M&Aの手続と最終契約

会社分割

かいしゃぶんかつ

会社の事業を、そこで使う資産や契約などとともに、別の会社へ引き継ぐための法律上の手続です。いまある会社へ引き継ぐ「吸収分割」と、新しく作る会社へ引き継ぐ「新設分割」があります。元の会社が必ず消える、という意味ではありません。

使用例

売却する事業を会社分割で別会社へ移し、その会社の株式を買い手へ譲渡する。

間違えやすい点株式譲渡は主に株主が変わる取引です。会社分割では、定められた事業に関する権利や義務が別会社へ移り、従業員や、会社にお金を貸している人などを保護する手続なども必要です。

出典

会社法 ↗
第2条第29号・第30号、第5編第3章

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」参考資料1 ↗
中小M&Aの主な手法と特徴/会社分割

会社法

かいしゃほう

会社を作り、運営し、形を変え、事業を終えるときの基本ルールを定めた法律です。M&Aでは、株式の譲渡に承認が必要か、合併の際に誰の賛成が必要かなどを確認する土台になります。すべての会社の内部ルールが同じになるわけではありません。

使用例

株式譲渡の手続を、会社法と対象会社の定款の両方で確認する。

間違えやすい点会社法だけを読めばM&Aの問題がすべて分かるわけではありません。契約、税金、労働、独占禁止などの法律や、事業ごとの許可のルールも、取引に応じて確認します。

出典

会社法 ↗
第1条・第2条/第2編・第3編・第5編

買い手価値

かいてかち

その買い手にとって、対象会社や事業がどれだけの価値を持つかという考え方です。自社の販路や設備と組み合わせる効果によって、別の買い手とは評価が変わることがあります。

使用例

既存の販売網を使える買い手は、その効果を加えて買い手価値を検討する。

間違えやすい点売り手が希望する価格や、市場で一律に決まる価格とは違います。組み合わせによる効果は、実現に必要な費用やリスクも含めて見積もります。

出典

経済産業省「企業買収における行動指針」 ↗
2.2 企業価値の向上と株主利益の確保・プレミアム

Aswath Damodaran(NYU Stern)Valuation Basics ↗
Discounted cash flow valuation / Gordon growth model

買戻条項

かいもどしじょうこう

いったん渡した株式などを、決めた条件に当たったときに買い戻す、または買い戻すよう求められることを定めた契約条項です。投資契約では、重大な契約違反などが起きた場合の株式の買戻しを定める例があります。

使用例

投資契約の買戻条項を読み、どんな場合に、誰が、いくらで株式を買い戻すのかを確認する。

間違えやすい点投資額の返済が当然に保証される仕組みではありません。「上場できなければ創業者が必ず買い戻す」とも限りません。請求の条件、対象者、価格を個別に読みます。

出典

経済産業省「スタートアップ投資契約ガイドライン」 ↗
我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項・契約違反時の取り扱い

カウンターテンダー

かうんたーてんだー

すでに出ている買収の提案に対し、別の買付け提案を出して対抗することを指す呼び名です。どの会社の株を誰が買う提案なのかを、具体的な取引で確かめます。

使用例

買収提案への対抗策として、カウンターテンダーの対象会社と買付条件を確認する。

間違えやすい点資料によって、第三者がより有利な条件を出す意味や、買収される側が相手を逆に買う意味で使われます。法律上の一つの決まった手続名ではありません。

出典

M&Aネット「M&Aの用語集」 ↗
買収関連用語の実務上の呼称

ストライク「カウンターテンダー」 ↗
第三者による対抗提案の用法。前掲資料とは指す取引が異なる場合がある。

価格調整条項

かかくちょうせいじょうこう

契約を結んだ後に会社の財務状況などが変わった場合、決めたルールに従って売買代金を増減させる条項です。何を基準に、いつの数字で調整するかを契約に書きます。

使用例

取引実行時の借入金や現金の額を確認し、価格調整条項に従って代金を計算する。

間違えやすい点買い手が自由に値引きできる約束ではありません。調整対象・計算方法・数字の確認手続を決めておきます。将来の業績に応じて追加代金を払う仕組みとも区別します。

出典

経済産業省「中小M&Aガイドライン第3版 参考資料」 ↗
リスク事項の詳細・価格調整条項

確認

かくにん

監査でいう確認は、銀行や取引先など会社の外部の相手に、残高や取引内容などを問い合わせ、監査人が直接回答を得る手続です。会社内部の説明だけに頼らず証拠を集めます。

使用例

監査人が売掛金の残高確認状を取引先へ送り、直接回答を受け取る。

間違えやすい点日常語の「目を通して確かめる」だけとは異なります。未回答や食い違いがあった場合には、その理由や別の調査方法を検討します。

出典

日本公認会計士協会「監査基準報告書505 確認」 ↗
第5項・確認の定義、確認依頼の回答

瑕疵担保責任

かしたんぽせきにん

売った物に、買い手が通常の注意では分からない欠陥があった場合に、売り手が負う責任を指す、改正前の民法の用語です。現在の売買では、約束した種類・品質・数量に合っているかを基準にする「契約不適合責任」が基本となります。

使用例

古い契約書にある「瑕疵担保責任」の条項を見て、契約を結んだ時期と適用される法律を確認する。

間違えやすい点2020年4月1日施行の民法改正後は、単に名前を読み替えるだけでは足りません。請求できる内容や要件も変わったため、旧制度を現行制度として覚えないようにします。

出典

民法(2026年3月31日時点) ↗
第562条以下・契約不適合に関する買主の権利/改正前第570条との関係

東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」 ↗
引渡し後の不具合・欠陥/改正前民法と改正民法の比較

加重平均資本コスト

かじゅうへいきんしほんこすと

別名・英字:WACC

株主から集めたお金と、銀行などから借りたお金のコストを、それぞれの割合に応じて平均したものです。WACCと呼び、会社全体の資金調達に必要な収益水準を考えます。

使用例

将来会社が生むお金を現在の価値に直す計算で、WACCを使う。

間違えやすい点単純に二つの割合を足して2で割る計算ではありません。借入れの税効果や資金の構成も考慮し、評価するお金の流れに合う率を使います。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「WACC」 ↗
株主資本コスト・負債コストと構成比

合併

がっぺい

複数の会社を、法律上、一つの会社にまとめる手続です。一方の会社を残してもう一方を取り込む「吸収合併」と、新しい会社にまとめる「新設合併」があります。合併によって消滅する会社の財産・借金・契約などは、残る会社や新会社に引き継がれます。

使用例

二つの会社を合併し、事業を一つの会社で運営する。

間違えやすい点株式譲渡による買収では、買われた会社が別会社として残るのが一般的です。合併では、合併によって消滅する会社がある点が違います。

出典

会社法 ↗
第2条第27号・第28号、第5編第2章

合併契約書

がっぺいけいやくしょ

合併する会社同士が、合併の条件を書いて合意する書類です。どの会社が残るか、消滅会社の株主に何を渡すか、いつ効力が生じるかなど、取引の骨組みを決めます。株主が株式を売るための契約書とは、当事者も内容も異なります。

使用例

合併契約書で、効力発生日と株主へ渡す株式・現金などの条件を確認する。

間違えやすい点契約書に署名しただけで、合併が直ちに完了するわけではありません。必要な会社内の承認や公告などを済ませ、法律上の条件を満たして合併を実行します。

出典

会社法 ↗
第748条・第749条(吸収合併契約)/第753条(新設合併契約)

合併公告

がっぺいこうこく

合併を行うことや、その内容を、法律に定められた方法で外部に知らせる手続です。例えば、会社にお金を貸している人や、代金をまだ受け取っていない取引先が、合併で不利益を受ける心配がないかを判断する機会を設けます。

使用例

合併の日程を組む際に、必要な合併公告と、異議を受け付ける期間を確認する。

間違えやすい点会社のホームページにニュースを載せることと、法律上の公告は同じとは限りません。知らせる相手や目的により方法が異なり、個別の通知が必要になることもあります。

出典

会社法 ↗
第789条・第799条・第810条(債権者の異議)

合併対価の柔軟化

がっぺいたいかのじゅうなんか

合併で消滅する会社の株主に渡すものを、存続会社の株式だけに限らず、お金や親会社の株式などから設計できることです。「対価」とは、取引の代わりに渡すお金や財産のことです。何を渡すかによって、合併後に誰が株主になるかも変わります。

使用例

現金を渡す方法と親会社の株式を渡す方法を、合併対価の柔軟化の選択肢として比較する。

間違えやすい点選択肢が増えても、どんな条件でも自由に合併できるという意味ではありません。株主への説明、承認、お金を貸している人の保護、税務などは別に確認します。

出典

内閣府「平成19年度 年次経済財政報告」 ↗
第2章第2節/合併対価の柔軟化

会社法 ↗
第749条第1項第2号

合併転換法

がっぺいてんかんほう

「金融機関の合併及び転換に関する法律」の略称です。銀行や信用金庫など、種類の異なる金融機関が合併したり、別の種類の金融機関へ変わったりするための制度を定めています。「合転法」とも呼ばれます。

使用例

銀行と信用金庫の組織再編を調べる際に、会社法だけでなく合併転換法の対象になるか確認する。

間違えやすい点一般の会社が合併する方法全般の名前でも、合併を株式譲渡へ切り替える方法でもありません。金融機関という特定の分野に関する法律であり、認可などの特別な手続を確認します。

出典

金融機関の合併及び転換に関する法律 ↗
第1条・第2条

国立国会図書館「合併転換法」 ↗
正式名称・別名

合併比率

がっぺいひりつ

合併するとき、消滅する会社の株式に対して、存続する会社などの株式をどの割合で渡すかを表す比率です。両社の価値などを調べ、合併の条件として決めます。たとえば「1株につき0.5株」なら、対象の100株に対して50株を渡す計算です。

使用例

合併契約書で、手持ちの株式が合併後に何株になるかを合併比率から確認する。

間違えやすい点会社の規模や売上高の比率が、そのまま合併比率になるわけではありません。現金などを渡す合併もあるため、何が交付されるかも確認します。

出典

会社法(2026年3月31日時点) ↗
第749条第1項第2号・第3号、合併の際に交付する株式等と割当て

カニバリゼーション

かにばりぜーしょん

同じ会社やグループの商品・店舗どうしが、同じお客さんを取り合うことです。新しい店の売上が増えても、既存店から客が移っただけなら、全体の売上はあまり増えないことがあります。

使用例

近隣の店を買収する前に、自社店舗とのカニバリゼーションを調べる。

間違えやすい点他社から新しいお客さんを獲得する効果とは分けて考えます。買収先と自社の売上を単純に足すだけでは、買収後の売上見込みを大きく見積もるおそれがあります。

出典

郡司昇「カニバリゼーション」 ↗
小売業の専門家による用語解説

カバレッジ部門

かばれっじぶもん

証券会社などで、担当する企業と継続的に接点を持ち、資金調達やM&Aの相談を受ける部門です。業界別・地域別などに担当が分かれ、必要な専門チームにつなぎます。

使用例

海外企業の買収を検討する会社に、担当のカバレッジ部門が相談窓口となる。

間違えやすい点M&Aの契約や実行を専門に進める部門とは、役割が分かれることがあります。部署の呼び方や担当範囲は会社ごとに異なります。

出典

野村證券「カバレッジバンカー」募集要項 ↗
カバレッジ部店の業務・プロダクト部門との連携

カーブアウト

かーぶあうと

別名・英字:Carve-out

会社の中にある一部の事業などを切り出し、別の会社で運営する形にすることです。会社全体ではなく、選んだ事業や技術を外へ出す取り組みと考えると分かりやすくなります。外部から出資を受けたり、買い手に引き継いだりする目的で行われます。

使用例

一部の事業をカーブアウトし、外部の出資を受けて成長させる。

間違えやすい点カーブアウトは取り組みの呼び方、会社分割はそのために使う法律上の手続の一つです。必ず会社分割を使うわけではなく、資料によって言葉の範囲も異なります。

出典

経済産業省「起業家主導型カーブアウト実践のガイダンス」 ↗
はじめに/本ガイダンスの対象とする「カーブアウト」について(冊子03頁)

株価

かぶか

株式1株の値段です。上場会社では市場で売買される価格があり、上場していない会社では、取引の目的に応じて当事者が価格を検討します。

使用例

全株式の売却額を発行株式数で割り、1株当たりの株価を確認する。

間違えやすい点1株の値段と会社全体の株式の価値は違います。1株の価格だけを比較して、会社全体が高い・安いとは判断できません。

出典

日本取引所グループ「時価総額」 ↗
株価×株式数

株価算定

かぶかさんてい

株式の値段を検討するため、利益や資産、将来の収入などを基に評価額を計算することです。特に市場価格のない非上場株式の取引で重要になります。

使用例

仲介会社が示した株価算定について、利益予測と借入金の調整内容を確認する。

間違えやすい点M&Aの価格交渉に使う評価と、相続税・贈与税を計算する評価は目的が異なります。一つの算定結果が、すべての場面で使えるとは限りません。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章Ⅱ3(3)バリュエーション

国税庁「取引相場のない株式の評価」 ↗
No.4638・原則的評価方式、特定の評価会社

株価収益率

かぶかしゅうえきりつ

別名・英字:PER

株価が、1株当たりの利益の何倍かを示す指標です。PERと呼び、「株価÷1株当たり当期純利益」で計算します。利益に対する株価の水準を比べるときに使います。

使用例

同業の上場会社のPERを比較し、利益に対する評価の違いを調べる。

間違えやすい点低ければ必ず割安とはいえません。成長見込みや一時的な利益の影響もあり、赤字の会社では通常の比べ方が難しくなります。

出典

日本取引所グループ「株価収益率」 ↗
PERの定義

株価純資産倍率

かぶかじゅんしさんばいりつ

別名・英字:PBR

株価が、1株当たりの純資産の何倍かを示す指標です。PBRと呼びます。純資産は、会計上の資産から負債を差し引いた部分です。

使用例

同業会社のPBRを調べ、純資産に対してどの程度の株価が付いているかを比べる。

間違えやすい点PBRが1倍未満でも、必ず会社を解散して利益が出るわけではありません。資産が帳簿の金額で売れるとは限らず、事業の収益力も見る必要があります。

出典

日本取引所グループ「株価純資産倍率」 ↗
PBRの定義

株価倍率法

かぶかばいりつほう

利益などの数字に、比較する会社から求めた倍率を掛けて、株式の価値を考える方法です。どの数字に何の倍率を掛けるかをそろえて使います。

使用例

1株当たり利益に同業会社のPERを掛け、株価の目安を検討する。

間違えやすい点何の倍率でも自由に掛けられるわけではありません。事業の価値を評価する倍率と、株式の価値を評価する倍率を混ぜないことが大切です。

出典

日本取引所グループ「株価収益率」 ↗
PERの定義

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章Ⅱ3(3)バリュエーション

株式移転

かぶしきいてん

新しく親会社を作り、その会社に、いまある会社の株式をすべて持たせる法律上の手続です。一つ以上の会社の上に、新しい親会社を置く形になります。元の会社の株主は、新しい親会社の株式を受け取るのが基本的な形です。

使用例

株式移転で持株会社を新設し、その下に既存の事業会社を置く。

間違えやすい点株式交換では、いまある会社が親会社になります。株式移転では、新しく作る会社が親会社になり、元の会社は子会社として残ります。

出典

会社法 ↗
第2条第32号、第772条・第773条

国税庁「措置法第70条の7関係」 ↗
2 会社法上の株式交換・株式移転の定義

株式移転計画書

かぶしきいてんけいかくしょ

株式移転で新しい親会社を作るときに、その内容を定める書面です。新会社の名前や所在地、役員、元の株主に渡す新会社の株式などを決めます。法律で定められた事項を含めて作り、必要な承認などの手続の基になります。

使用例

株式移転計画書で、新設する持株会社の名前と株式の割当てを確認する。

間違えやすい点株式譲渡契約書は株式を売買する当事者の条件を定めます。株式移転計画書は、新しい親会社を作る組織再編のための計画で、複数社の場合は共同して作成します。

出典

会社法 ↗
第772条・第773条

株式価値

かぶしきかち

別名・英字:株主価値

会社の価値のうち、株式を持つ人に帰属する部分の価値です。会社全体の価値を見る場合と、売買する株式の価値を見る場合では、借入金や現預金の扱いが変わります。

使用例

会社の事業の評価額から借入金などを調整し、株式価値を検討する。

間違えやすい点株式価値の評価額と実際の売買価格は別です。売る株式の割合、経営への影響力、契約条件なども確認します。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「企業価値」 ↗
企業価値・株式価値・負債価値の関係

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章Ⅱ3(3)バリュエーション

株式公開(IPO)

かぶしきこうかい

別名・英字:IPO/株式上場/株式公開

会社の株式を証券取引所に初めて上場し、多くの投資家が市場で売買できるようにすることです。IPOは英語のInitial Public Offeringの略です。新しく株式を発行して会社がお金を集めたり、既存の株主が保有株式を売り出したりすることがあります。

使用例

会社の成長資金を調達するため、株式公開(IPO)を目指す。

間違えやすい点IPOは特定の相手へ会社を売るM&Aと同じ意味ではありません。また、株式公開と、会社法でいう「公開会社」は用語の定義が異なります。

出典

日本取引所グループ「株式公開(IPO)」 ↗
用語の定義・公募増資と売出し

会社法 ↗
第2条第5号

株式公開買付

かぶしきこうかいかいつけ/TOB

別名・英字:TOB/公開買付け/株式公開買付け

買いたい株式の価格や期間、買う予定の株数などを先に公表し、株式を持つ人から広く売却の応募を集める仕組みです。TOB(ティーオービー)とも呼ばれます。株主は、公表された条件を読んで応募するか判断します。

使用例

買い手が1株当たりの価格と応募期間を公表し、対象会社の株主から株式を買い集める。

間違えやすい点証券取引所で通常の注文を出す買い方とは異なります。相手の経営陣が賛成している場合にも使われるため、「TOB=敵対的買収」ではありません。

出典

日本取引所グループ「公開買付け(TOB)」 ↗
用語集・公開買付けの仕組み。適用要件や割合の説明は本項では省略。

株式交換

かぶしきこうかん

いまある会社が、別の会社の株式をすべて持つ形にする法律上の手続です。株式を持つ側が親会社、株式を持たれる側が子会社となり、100%の親子関係を作ります。対象会社の株主には、持っていた株式の代わりに親会社の株式や現金などを渡します。

使用例

株式交換で対象会社を100%子会社にする。

間違えやすい点株式交換の親会社は、いまある会社です。新しい親会社を作る株式移転や、100%にしない子会社化にも使える株式交付とは異なります。

出典

会社法 ↗
第2条第31号、第767条・第768条

中小機構J-Net21「株式交換・株式移転の概要」 ↗
1.会社法上の取扱い

株式交付

かぶしきこうふ

買い手の会社が、自社の株式を代わりに渡して、別の会社を新たに子会社にする法律上の手続です。売り手の株主は、対象会社の株式を渡す代わりに、買い手の会社の株式を受け取ります。現金と株式を組み合わせる場合もあります。

使用例

自社株式を代わりに渡す株式交付で、対象会社を子会社にする。

間違えやすい点株式交換は100%子会社にする手続ですが、株式交付は100%にしない子会社化にも使えます。ただし、株式を少しだけ買う取引なら何でも使える制度ではありません。

出典

会社法 ↗
第2条第32号の2、第774条の2以下

法務省・令和元年会社法改正の概要 ↗
株式交付制度の創設

株式時価総額

かぶしきじかそうがく

株式をその時点の株価で全部評価すると、合計でいくらになるかを示す金額です。基本的に、株価に株式数を掛けて求めます。

使用例

株価1,000円、株式数100万株なら、株式時価総額は10億円となる。

間違えやすい点会社全体を買う際の必要資金と一致するとは限りません。買収で上乗せする金額や借入金の扱いなどは別に検討します。

出典

日本取引所グループ「時価総額」 ↗
株価×株式数

株式取得

かぶしきしゅとく

株式を手に入れ、株主になることです。株主は株式を持つ人や会社を指し、既存の株主から買う方法のほか、新しく発行された株式を引き受ける方法などがあります。M&Aでは、対象会社の経営に関わるために株式を取得することがあります。

使用例

対象会社の株式を取得し、買収後の経営方針を協議する。

間違えやすい点株式取得は、株式を手に入れる側から見た広い言葉です。株式譲渡は株主が持つ株式を他者へ渡す取引を指し、株式を一部取得しただけで必ず経営権を得られるわけではありません。

出典

会社法 ↗
第127条、第199条以下

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」参考資料1 ↗
株式譲渡

株式消却

かぶしきしょうきゃく

会社が持っている自社の株式をなくし、発行されている株式の数を減らすことです。会社が自分自身の株式を持つことは「自己株式」と呼ばれます。株主から株式を買い戻すことと、買い戻した株式を消却することは、分けて考えます。

使用例

会社が保有する自己株式を消却し、発行済みの株式数を減らす。

間違えやすい点買い戻しただけでは株式は残り、あとで他者へ渡すこともあります。株式消却は株式自体をなくす手続で、他の株主の株式を会社が自由に消せるという意味ではありません。

出典

会社法 ↗
第178条

株式譲渡

かぶしきじょうと

株主が持つ株式を買い手へ渡し、会社の持ち主を変える取引です。株式は会社の株主としての権利を表すもので、全部を譲渡する場合も一部だけの場合もあります。対象会社自体は残るため、会社の店舗や預金などを一つずつ売る取引とは異なります。

既存株式100%の売買の簡略例。株主が交代し、売買代金は売り手株主へ渡ります。
既存株式100%の売買の簡略例。株主が交代し、売買代金は売り手株主へ渡ります。
使用例

創業者が保有する全株式を買い手企業へ株式譲渡する。

間違えやすい点資産・借金・契約は原則として同じ会社に残ります。ただし、株主が変わる際に取引先の同意が必要となる契約や、株式の譲渡に会社の承認が必要かは確認します。

出典

会社法 ↗
第127条、第136条・第139条

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」参考資料1 ↗
株式譲渡

株式譲渡契約書

かぶしきじょうとけいやくしょ

株式を売る人と買う人が、何株を、いくらで、いつ譲り渡すかなどを約束する契約書です。M&Aでは、会社について確認した内容、取引を実行する条件、約束に違反した場合の対応なども定めます。契約に署名することと、実際に代金を払い株式を渡すことは別です。

使用例

株式譲渡契約書で、売買代金と支払日、株式を引き渡す条件を確認する。

間違えやすい点株式の譲渡に会社の承認が必要な場合、売買の合意だけでその手続が不要になるわけではありません。契約書と会社側の承認手続を分けて確認します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」参考資料7 各種契約書サンプル ↗
株式譲渡契約書サンプル

会社法 ↗
第136条〜第139条

株式譲渡承認請求書

かぶしきじょうとしょうにんせいきゅうしょ

譲渡に会社の承認が必要な株式について、その承認を求めるための書面です。売る株式の数や買う相手など、法律で定められた内容を明らかにして会社へ請求します。承認するかを決める機関は、会社の体制や定款により確認します。

使用例

株式を売る前に、譲渡先と株数を記載した株式譲渡承認請求書を会社へ提出する。

間違えやすい点この書面は会社へ承認を求めるものです。売り手と買い手の売買条件を決める株式譲渡契約書や、会社が承認したことを伝える通知とは別です。

出典

会社法 ↗
第136条〜第139条

株式譲渡所得

かぶしきじょうとしょとく

個人が株式を売るなどして得た、税金の計算対象となる利益です。基本的には売却代金から取得費と売却に必要な費用などを差し引いて計算します。

使用例

創業者が株式を売却し、取得費や売却費用を整理して株式譲渡所得を計算する。

間違えやすい点売却代金全額が、そのまま利益ではありません。上場株式等とそれ以外の株式等では区分があり、法人が売る場合も個人と税の仕組みが異なります。

出典

国税庁「株式・配当・利子と税」 ↗
株式等譲渡益課税制度・譲渡益の計算

株式譲渡制限会社

かぶしきじょうとせいげんがいしゃ

発行するすべての株式について、他人へ譲り渡す際に会社の承認が必要だと定めている会社です。誰でも自由に株主になれる状態を避けるための仕組みです。会社の基本ルールである「定款」に、株式の譲渡制限を定めます。

使用例

売却前に、対象会社が株式譲渡制限会社かどうかを定款で調べる。

間違えやすい点会社法では「公開会社でない株式会社」に当たります。株式譲渡が一切できないわけではなく、会社の承認などの手続を確認します。単に未上場という言葉とは同じ定義ではありません。

出典

会社法 ↗
第2条第5号、第107条第1項第1号、第136条〜第139条

株式相続

かぶしきそうぞく

亡くなった人が持っていた株式を、相続人が引き継ぐことです。株式も財産なので、遺言や遺産の分け方などを確認します。株式を引き継いで株主になることと、社長などの役員になることは別の問題です。

使用例

創業者の死後、相続人が株式相続の手続と株主名簿の変更を進める。

間違えやすい点生前に無償で渡す株式の贈与とは異なります。譲渡制限株式でも通常の売買と同じ承認の話だけでは判断できず、会社が相続人へ売渡しを請求できる定款の定めなども確認します。

出典

民法 ↗
第896条

会社法 ↗
第130条、第174条〜第177条

財務省「事業承継税制について」 ↗
相続や贈与による非上場株式の引継ぎ

株式の贈与

かぶしきのぞうよ

持っている株式を、代金を受け取らずに相手へあげることです。あげる人と受け取る人の合意で行い、生前に後継者へ会社の株式を渡す方法として使われることがあります。無償でも、受け取った株式の価値や税金の確認は必要です。

使用例

親が後継者の子へ株式を贈与し、生前の事業承継を進める。

間違えやすい点亡くなった人の株式を引き継ぐ相続とは、きっかけや税金の扱いが異なります。家族間の贈与でも、譲渡制限株式なら会社の承認などの手続を確認します。

出典

民法 ↗
第549条

会社法 ↗
第136条〜第139条

財務省「事業承継税制について」 ↗
相続や贈与による非上場株式の引継ぎ

株式分割

かぶしきぶんかつ

一株を二株にするなど、いまある株式を細かく分けて株数を増やすことです。株主が持つ株式の数も同じ割合で増えます。株数が増えても、この手続だけで会社の財産や、保有株式全体の実質的な価値がその分増えるわけではありません。

使用例

投資家が少ない金額でも買いやすくなるよう、株式分割を行う。

間違えやすい点会社分割は事業を別会社へ移す手続で、株式分割とは別です。株式併合は、株式をまとめて株数を減らす、反対方向の手続です。

出典

会社法 ↗
第183条・第184条

日本取引所グループ「株式分割」 ↗
株式分割とは

株式併合

かぶしきへいごう

複数の株式を一株にまとめ、株数を減らすことです。たとえば十株を一株にまとめると、保有する株数は十分の一になります。ただし、この手続だけで株主が持つ株式全体の実質的な価値も十分の一になるという意味ではありません。

使用例

株数を整理するため、株主総会で株式併合を決議する。

間違えやすい点株式分割は株式を細かくして数を増やす手続です。併合後に一株未満の端数が生じる場合は、その扱いが株主に影響するため確認が必要です。

出典

会社法 ↗
第180条、第182条、第235条

株式保有特定会社

かぶしきほゆうとくていがいしゃ

別名・英字:株式等保有特定会社

相続税・贈与税の非上場株式の評価で、保有する資産のうち株式などの割合が一定以上の会社を区別する呼び方です。国税庁では「株式等保有特定会社」と表記します。

使用例

相続した会社の株式を評価する前に、株式等保有特定会社に当たるかを確認する。

間違えやすい点会社の売買価格を決める一般的な分類ではありません。該当するかの判定や評価には税務上の基準があり、M&Aの株価算定とそのまま混同しません。

出典

国税庁「取引相場のない株式の評価」 ↗
No.4638・原則的評価方式、特定の評価会社

株式持ち合い

かぶしきもちあい

別名・英字:株式の持ち合い

会社同士がお互いの株式を持つことです。一方が相手の株式を持つだけでなく、相手も自社の株式を持つ関係になります。取引関係を安定させる目的などで行われますが、株式を持つためにお金を使い、相手の業績や株価の影響を受けることもあります。

使用例

提携先との株式持ち合いについて、保有を続ける目的を確認する。

間違えやすい点一方が他方の株式を100%持つ親子会社とは同じ意味ではありません。持ち合っているだけで対等な経営権や買収防衛の効果が必ず得られるわけでもありません。

出典

日本取引所グループ「持ち合い株」 ↗
持ち合いの定義

会社法 ↗
第308条

株主間契約

かぶぬしかんけいやく

別名・英字:株主間協定

株式を持つ人や会社の間で、会社への関わり方などをあらかじめ約束する契約です。たとえば、重要事項の決め方、株式を売るときのルール、取締役の選び方などを定めます。複数の出資者が関わる会社で、意見が対立したときの対応を整理するためにも使われます。

使用例

共同出資の前に、株主間契約で重要事項の決め方を話し合う。

間違えやすい点会社の基本ルールを定める定款とは別の契約です。契約を結んだ当事者の約束なので、会社法や会社の手続を無視して何でも自由に決められるわけではありません。

出典

経済産業省・公開報告書 ↗
【参考】株主間契約:概要

民法 ↗
第521条

株主資本コスト

かぶぬししほんこすと

別名・英字:株式資本コスト

株主が、その会社にお金を出すなら最低限これくらいの収益を期待したいと考える割合です。会社から見ると、株主から資金を集めるために応えるべき期待の水準です。

使用例

事業で得られる収益が株主資本コストに見合うかを検討する。

間違えやすい点銀行の利息のような、毎年必ず払う決まった費用ではありません。配当の額そのものでもなく、投資のリスクを踏まえた期待を表します。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「株主資本コスト」 ↗
株主の要求収益率

株主資本利益率

かぶぬししほんりえきりつ

別名・英字:ROE

株主が会社に残している元手に対して、どれだけ利益を上げたかを見る指標です。ROEと呼び、一般に当期純利益を自己資本で割って求めます。

使用例

買収候補のROEを数年分見て、利益を生む力の変化を調べる。

間違えやすい点高ければ常に健全とは限りません。自己資本が小さいと高く出る場合もあるため、利益の内容と借入金の多さも一緒に確認します。

出典

日本取引所グループ「株価検索 はじめての方へ」 ↗
ROEの計算と意味

一橋大学ファイナンス用語集「株主資本コスト」 ↗
株主の要求収益率

株主総会

かぶぬしそうかい

株式を持つ株主が、会社の重要な事項を決めるための場です。役員の選任、会社の基本ルールの変更など、法律や定款で定める事項を決議します。株主は議案に賛成・反対の意思を示し、決め方には議案に応じたルールがあります。

使用例

買収手続に必要な株主総会を開き、議案への賛否を確認する。

間違えやすい点取締役会は、取締役が集まって会社の業務方針などを決める機関です。株主総会で何でも決められるとは限らず、取締役会の有無や議案の内容によって権限が異なります。

出典

会社法 ↗
第295条、第308条・第309条

株主代表訴訟

かぶぬしだいひょうそしょう

取締役などが会社へ与えた損害について、株主が会社のために責任を追及する裁判です。会社自身が適切に責任を追及しない場合に、一定の条件の下で株主が訴えを起こせる仕組みです。会社を守るための制度として理解すると分かりやすくなります。

使用例

会社が取締役の責任を追及しないため、株主代表訴訟の要件を検討する。

間違えやすい点株価が下がった株主が、自分個人の損失をそのまま取り戻す裁判とは異なります。請求が認められた場合の賠償金は会社に帰属し、提訴には保有要件や事前の請求などの確認が必要です。

出典

会社法 ↗
第847条以下

東京地方裁判所「民事第8部(商事部)」 ↗
5.弁論・手形/会社法847条に基づく責任追及等の訴え

株主ローン

かぶぬしろーん

株主が、出資先の会社に貸しているお金です。同じ人が株主であり貸し手でもある状態で、会社から見ると返済義務のある借入れとして扱います。

使用例

創業者の株式と株主ローンをどう引き継ぐか、売買価格とは別に整理する。

間違えやすい点株式への出資と貸付けは違います。株を譲渡しても貸付金が自動的に買い手へ移るわけではなく、返済や債権の譲渡、金利などの条件を確認します。

出典

Financial Modelling「株主ローンとは」 ↗
プロジェクト会社への株主からの貸付けと出資の違い(専門解説者自身の原稿)

一橋大学ファイナンス用語集「企業価値」 ↗
企業価値・株式価値・負債価値の関係

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章Ⅱ3(3)バリュエーション

簡易組織再編

かんいそしきさいへん

合併や会社分割などの取引のうち、法律で決められた条件を満たす場合に、会社の株主総会での承認を省ける仕組みです。取引の規模がその会社にとって小さいことなどが判断材料になります。会社同士の話合いだけで自由に省略できるわけではありません。

使用例

会社分割を進める前に、簡易組織再編の条件に当たり、どちらの会社で承認を省けるか確認する。

間違えやすい点省けるのは該当する承認手続です。契約書の作成、相手方の手続、お金を貸している人を守る手続などまで、全部不要になるという意味ではありません。

出典

会社法 ↗
第784条第2項/第796条第2項/第805条

環境デューデリジェンス

かんきょうでゅーでりじぇんす/環境DD

別名・英字:環境DD

買収する会社や工場、土地などについて、環境面の問題がないかを調べることです。土壌汚染、廃棄物の管理、使っている化学物質、法令違反の有無などを調べ、後で必要になる対策や費用を考えます。

使用例

工場の買収前に、過去の操業記録や土壌調査の結果を確認して環境面のリスクを調べる。

間違えやすい点決算書を調べる財務DDだけでは、土地の汚染などを十分に把握できない場合があります。環境DDは「調べたから問題が絶対にない」と保証するものではなく、調査範囲と限界も確認します。

出典

環境省「環境デュー・ディリジェンスに関する手引書の公表について」 ↗
企業買収等における投資対象の環境側面の現状認識調査

関係会社

かんけいがいしゃ

財務書類で使われる、親会社・子会社・関連会社などをまとめた呼び名です。例えば、決算書の「関係会社への貸付金」は、そうした資本や経営上の関係がある相手に貸しているお金を示します。どの会社まで含むかは使われる法令や会計ルールを確認します。

使用例

関係会社との取引を調べ、買収後に続ける契約や精算する貸付金を整理する。

間違えやすい点関連会社は、関係会社という大きな分類に含まれる種類の一つです。文字が似ていますが同義ではなく、単に長年付き合いのある取引先をすべて関係会社と呼ぶわけでもありません。

出典

日本取引所グループ「関係会社」 ↗
用語の定義

監査法人

かんさほうじん

公認会計士が組織を作り、会社の決算書などを独立した立場で調べ、会計ルールに沿って適正に作られているかについて意見を出す法人です。

使用例

買収候補が監査法人の監査を受けているか、監査報告書の内容を確認する。

間違えやすい点会社の日常の帳簿作成を代行することや、M&Aの買収前調査とは目的が異なります。監査を受けていても、将来の利益や買収の成功が保証されるわけではありません。

出典

日本取引所グループ「監査法人」 ↗
監査法人の役割

完全子会社

かんぜんこがいしゃ

ある会社に、発行している株式を100%持たれている会社です。買い手が対象会社の株式をすべて取得すると、対象会社は買い手の完全子会社になります。会社自体は別の法人として残り、通常は自分の名前で契約を続けます。

使用例

全株式を取得し、対象会社を完全子会社にする。

間違えやすい点過半数の株式を取得しただけの子会社には、ほかの株主も残ります。完全子会社は株主が100%親会社になる点が違います。親会社との合併を行わない限り、自動的に同じ会社になるわけではありません。

出典

会社法 ↗
第2条第31号/第767条(株式交換完全子会社等)

関連会社

かんれんがいしゃ

経営を支配する子会社ではないものの、事業やお金の方針に重要な影響を与えられる会社です。出資の割合だけでなく、役員の派遣、取引、お金の支援などの関係も見て判断します。会計書類で会社同士の関係を読むときに出てきます。

使用例

一部の株式を取得した会社が、会計上の関連会社に当たるかを確認する。

間違えやすい点「関係のある会社」という日常語とは異なる会計上の分類です。子会社は経営を支配する関係、関連会社は支配まではしないものの重要な影響を与える関係として区別します。

出典

日本取引所グループ「関連会社」 ↗
用語の定義

企業概要書

きぎょうがいようしょ

別名・英字:IM/インフォメーションメモランダム

買い手候補に会社や事業の内容を伝えるための説明資料です。事業の強み、顧客、社員、財務状況、売却の背景などをまとめ、買収を検討する材料にします。

使用例

秘密保持の約束を交わした買い手候補に、企業概要書を開示する。

間違えやすい点社名を伏せた短い紹介資料より詳しい情報を載せることが一般的です。ただし、記載内容がすべて確認済みとは限らず、買い手自身による調査も必要です。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版 ↗
第1章・M&Aの手続と最終契約

企業価値

きぎょうかち

会社が持つ事業や資産を、お金の額で評価した価値です。株主だけでなく、銀行など資金を貸している人に帰属する部分も含めて捉えることがあります。

使用例

企業価値と株式価値を分けて説明し、借入金をどう扱ったかを確認する。

間違えやすい点資料によって企業価値の範囲は違います。「会社の値段」とだけ覚えず、現預金や借入金を含むのか、計算の定義を確かめます。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「企業価値」 ↗
企業価値・株式価値・負債価値の関係

企業価値評価

きぎょうかちひょうか

別名・英字:企業評価

会社や事業がどのくらいの価値を持つかを、利益、資産、将来の見通しなどから見積もる作業です。バリュエーションとも呼びます。

使用例

将来の利益を基にする方法と、保有資産を基にする方法で企業価値評価を行う。

間違えやすい点評価は値段の目安を考える作業です。交渉で最終的な売買価格を決めることとは異なり、前提や方法が変われば結果も変わります。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章Ⅱ3(3)バリュエーション

一橋大学ファイナンス用語集「企業価値」 ↗
企業価値・株式価値・負債価値の関係

企業規模最大化仮説

きぎょうきぼさいだいかかせつ

経営者は、株主の利益だけでなく、売上や資産など会社の規模を大きくすること自体を重視する場合がある、という企業行動の説明です。M&Aの動機を考える際の仮説の一つです。

使用例

買収の理由が利益の改善なのか、規模の拡大そのものなのかを検討する。

間違えやすい点すべての経営者がそう行動するという事実や、M&Aのルールではありません。会社が大きくなることと、株主にとっての価値が増えることを分けて考えるための視点です。

出典

Robin Marris「A Model of the Managerial Enterprise」 ↗
Quarterly Journal of Economics 77(2),1963,185–209。経営者企業の成長目的に関する理論

企業再生

きぎょうさいせい

経営や借入れに問題を抱えた会社が、事業を立て直して続けられる状態を目指すことです。売り方や費用の見直しに加え、返済計画の調整やM&Aを組み合わせる場合があります。

使用例

企業再生の計画として、不採算部門の見直しと借入金の返済条件を検討する。

間違えやすい点借金を減らすだけでは、事業が続くとは限りません。利益を生む仕組みと、必要な現金を確保する方法を一緒に考えます。

出典

中小企業庁「中小企業活性化協議会」 ↗
収益力改善・事業再生の支援

企業再生支援機構

きぎょうさいせいしえんきこう

過大な借入れなどを抱える事業者の再生を支援するため、2009年に設立された組織の旧名称です。2013年3月18日に地域経済活性化支援機構へ名称が変わりました。

使用例

過去の再生事例を読む際、企業再生支援機構という旧名称の時期を確認する。

間違えやすい点現在も同じ名前で新しい相談を受ける機関だと誤解しないようにします。現在の地域経済活性化支援機構(REVIC)や、中小企業活性化協議会とも区別します。

出典

地域経済活性化支援機構「会社概要」 ↗
設立・沿革、2013年3月18日の商号変更

企業再生ファンド

きぎょうさいせいふぁんど

立て直しを目指す会社に投資し、お金と経営の支援をするための仕組みです。複数の出資者から資金を集め、株式や債権の取得などを通じて再生を支えます。

使用例

企業再生ファンドが資金を出し、専門家を派遣して事業の改善を支援する。

間違えやすい点補助金とは違い、投資した資金の回収や利益も目指します。経営への関わり方、投資期間、将来の株式売却などの条件を確認します。

出典

中小企業庁「2024年版小規模企業白書」 ↗
中小企業の事業再生等に関する支援

企業生存率

きぎょうせいぞんりつ

ある時点で存在・開業した企業のうち、一定の年数がたった後も残っている企業の割合です。創業後5年、10年などの区切りで調べ、事業の継続状況を見るために使います。

使用例

企業生存率の資料を読むとき、対象企業と追跡期間を確認する。

間違えやすい点売上や利益が伸びる確率ではありません。登記が残ることを数えるのか、実際の営業継続を数えるのかなどで結果が変わるため、割合だけを比較しません。

出典

中小企業庁「2023年版中小企業白書」 ↗
第2節 起業・創業、企業生存率の集計上の注意

議決権

ぎけつけん

株主総会で、提案に賛成か反対かを示して、会社の決定に参加する権利です。株式を持つことで得られる権利の一つですが、持つ株式の種類や会社のルールによって、議決権がない場合や数の数え方が異なる場合もあります。

使用例

買収後の意思決定を考えるため、保有株数だけでなく議決権の割合を確認する。

間違えやすい点株主の人数と議決権の数は同じではありません。また「一株なら必ず一票」とも限らないため、株式の種類、単元の設定、会社が自分で持つ株式などを確認します。

出典

会社法 ↗
第108条第1項第3号、第188条・第189条、第308条

議決権制限株式

ぎけつけんせいげんかぶしき

株主が会社の会議で投票できる事項を、限定した株式です。株式を持っていても、すべての議題に賛成・反対の票を出せるとは限りません。利益の分配を受ける権利と、経営の決定に参加する権利を分けて設計するときに使われます。

使用例

買収対象の株式について、株数だけでなく議決権制限株式が含まれていないか確認する。

間違えやすい点投票できる事項を一部だけ制限するものも、広く制限するものもあります。「配当が優先される株式」など他の条件とは別なので、会社の基本ルールである定款を確認します。

出典

会社法 ↗
第108条第1項第3号

技術提携

ぎじゅつていけい

別の会社の技術を使わせてもらったり、一緒に技術を開発したりして協力することです。たとえば、製品を作る技術を持つ会社と、新しい素材を持つ会社が共同開発を進める場合です。必ずしも会社や株式を買う必要はありません。

使用例

医療機器メーカーが画像解析の会社と技術提携し、新しい検査機器を共同開発する。

間違えやすい点会社を買うM&Aとは別の協力方法ですが、出資と組み合わせる場合もあります。開発した技術を誰が持つか、誰がどこまで使えるか、秘密情報をどう守るかを決めます。

出典

経済産業省「スタートアップ企業と事業会社の連携」 ↗
オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(共同研究開発・ライセンス)

期待収益率

きたいしゅうえきりつ

関連する言葉:期待収益

投資によって、将来どの程度の利益が得られそうかを割合で表した見込みです。複数の結果があり得る場合は、それぞれが起こる可能性も踏まえて考えます。

使用例

投資額に対する期待収益率と、損失が出るリスクを比べて投資を判断する。

間違えやすい点資料では「期待収益」と呼ぶ場合もあります。投資家が必要と考える要求収益率の意味で使われることもあるため、文脈を確かめます。いずれも利益の保証ではありません。

出典

企業年金連合会「期待収益率」 ↗
資産運用で見込まれるリターンの定義

一橋大学ファイナンス用語集「株主資本コスト」 ↗
株主の要求収益率

希薄化

きはくか

新しい株式が発行されるなどして、以前からの株主が持つ割合や、1株に対応する利益が薄まることです。例えば、全体が1,000株の会社で100株を持っていれば10%ですが、自分の株数が同じで全体が2,000株になると5%になります。

使用例

増資後の希薄化を計算し、買収後に自分の議決権が何%残るかを確認する。

間違えやすい点株式数が増えたことだけで、会社全体の価値が必ず下がるわけではありません。集めたお金の使い道や将来の利益も重要です。割合の低下と、投資価値の増減は分けて考えます。

出典

一橋大学ビジネススクール「希薄化」 ↗
希薄化の定義・新株発行の影響

規模の経済

きぼのけいざい

作る量や事業の規模が大きくなることで、商品一つ当たりなどの平均的な費用が下がる効果です。工場の賃料が同じなら、より多くの商品で負担を分けられます。仕入れや配送などをまとめることで費用を下げられる場合もあります。

使用例

2社が商品の生産を一つの工場に集め、設備費をより多くの商品で分担して単位当たりの費用を下げる。

間違えやすい点会社を大きくすれば必ず利益が増えるわけではありません。管理が複雑になる費用なども増えるため、節約できる額と追加費用を比べます。異なる事業で資源を共有する範囲の経済とも区別します。

出典

公正取引委員会「競争圧力の評価に係る基本的視点」 ↗
3.規模の経済(生産量と1単位当たりの平均費用)

基本合意

きほんごうい

別名・英字:基本合意契約書/基本合意書

買収を検討する売り手と買い手が、交渉の途中で、予定する価格や取引方法、調査の進め方などをいったん整理して合意することです。細かな条件をすべて確定する前の段階で、基本合意書にまとめる場合があります。

使用例

基本合意で予定価格と調査期間を決め、調査結果を踏まえて最終的な条件を話し合う。

間違えやすい点基本合意だけで買収が完了するわけではありません。ただし、秘密保持や他の買い手と交渉しない約束などは守る義務を設ける場合があり、条項ごとの確認が必要です。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月) ↗
第1章Ⅱ3(6)基本合意の締結/参考資料7(3)基本合意書サンプル

機密保持契約

きみつほじけいやく/NDA

別名・英字:NDA/秘密保持契約

交渉のために受け取った秘密の情報を、勝手に外へ伝えたり、決めた目的以外に使ったりしないと約束する契約です。NDA(エヌディーエー)、秘密保持契約とも呼びます。M&Aでは、詳しい売上や取引先の情報を渡す前に結ぶ場合があります。

使用例

買い手候補が機密保持契約を結んだ後、売り手の取引先一覧や詳しい決算資料を受け取る。

間違えやすい点「誰にも一切話せない」という一律の約束ではありません。秘密の範囲、相談できる専門家、使う目的、契約終了後の返却・削除などを実際の条項で確認します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月) ↗
第1章Ⅱ3・マッチング、交渉/参考資料7(1)秘密保持契約書サンプル

逆三角合併

ぎゃくさんかくがっぺい

買い手が用意した子会社を、買収対象の会社に吸収させ、対象会社を残す形の取引です。取引後は、残った対象会社が買い手の子会社になります。主に米国などの取引の説明で使われます。

使用例

海外企業の買収契約で、対象会社を残す逆三角合併の構成を確認する。

間違えやすい点通常の三角合併との違いは、買い手の子会社と対象会社のどちらを残すかです。国によって利用できる制度が違うため、外国の手法をそのまま日本の会社法上の手続として扱わないようにします。

出典

米国証券取引委員会EDGAR掲載・合併税務意見書 ↗
A. The Merger satisfies the form of a reverse triangular merger。取引構造の説明を参照、税務要件は本項目では説明しない

逆のれん

ぎゃくのれん

別名・英字:逆のれん代

買収価格が、取得した資産から引き受けた負債を差し引いた評価額より小さいときに生じる差額です。正式な会計上の呼び方は「負ののれん」です。

使用例

買収価格が取得した純資産の評価額を下回るため、負ののれんが生じるかを確認する。

間違えやすい点安く買えたと直ちに決めつけません。日本基準では資産・負債の把握と評価を見直し、それでも残る差額を発生した事業年度の利益として処理します。

出典

ASBJ 移管指針第4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」 ↗
第30項:のれんの償却及び負ののれん。企業結合会計基準第33項を参照する負ののれんの利益処理

キャッシュアウトマージャー

きゃっしゅあうとまーじゃー

合併でなくなる会社の株主に、新しい株式ではなく、お金を渡す形の合併です。株主は、持っていた株式の代わりに現金を受け取ります。

使用例

合併後の株主構成を整理するため、キャッシュアウトマージャーを検討する。

間違えやすい点株式を代わりに渡す合併とは異なります。「現金を払えばどのような合併もできる」という意味ではなく、会社法の手続や株主の保護、税務を別に確認します。

出典

法務省「会社法制の現代化に関する要綱」 ↗
合併等の対価の柔軟化

キャッシュ・テンダー・オファー

きゃっしゅてんだーおふぁー

株式などを一定の条件で買い集める公開買付けで、売る人への支払いを現金だけで行うものです。英語のCash Tender Offerを表す呼び方です。

使用例

買付者はキャッシュ・テンダー・オファーに必要な現金を用意する。

間違えやすい点自社の株式を代わりに渡す買付けとは区別します。公開買付けが必要になる条件や手続は国ごとに違うため、米国の用語を日本の制度へそのまま当てはめません。

出典

米FTC「Sec.801.1 Definitions」 ↗
cash tender offerの定義

キャッシュフロー計算書

きゃっしゅふろーけいさんしょ

別名・英字:CF計算書

一定期間に、現金と、短期間で現金に換えられて値下がりの危険がごく小さい資金が、何によって増減したかを示す書類です。本業、設備などへの投資、借入れや返済などに分けて表示します。

使用例

利益が出ている会社でも、キャッシュフロー計算書で本業の入金不足がないか確認する。

間違えやすい点損益計算書が示す利益と、現金の増減は一致しません。売上の未回収や設備購入、借入金の返済などがあるためです。

出典

ASBJ 移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」 ↗
第2項:現金及び現金同等物の範囲(PDF物理5頁/印刷4頁)。第6〜9項:営業・投資・財務活動の表示区分。2024年11月1日公表分まで反映した版

キャピタルゲイン

きゃぴたるげいん

株式などの資産を、買ったときより高い価格で売ることで得る利益です。M&Aで株式を売る人や、投資先を売却するファンドの話で使われます。

使用例

会社の株式を取得時より高く売り、キャピタルゲインを得る。

間違えやすい点株式を持っている間に受け取る配当などとは違います。税金を計算するときは、取得費や売却費用などの扱いも確認します。

出典

国民年金基金連合会「資産運用用語集」 ↗
キャピタル・ゲインとキャピタル・ロス

国税庁「株式・配当・利子と税」 ↗
株式等譲渡益課税制度・譲渡益の計算

救済型M&A

きゅうさいがたえむあんどえー

業績や資金繰りが厳しい会社の事業を、別の会社が買収などによって引き継ぎ、継続や立て直しを目指すM&Aです。商品の販売先、設備、従業員の仕事など、残せる事業の価値を他社の力と組み合わせる場合があります。

使用例

資金繰りが厳しい製造会社の採算が取れる事業を、同業会社が引き継いで継続する。

間違えやすい点買収すれば必ず会社全体やすべての雇用を救える、という意味ではありません。借入れや取引先との調整も必要で、通常の成長目的の買収以上に時間と資金の制約を確認します。

出典

中小企業庁「2021年版中小企業白書」 ↗
第2部第3章第2節・業績不振の同業他社から事業・従業員を引き継ぐ事例2-3-8/救済型の呼称は学習用整理

吸収合併

きゅうしゅうがっぺい

合併のうち、いまある会社を残し、他の会社の財産・借金・契約などをまとめて引き継ぐ方法です。残る会社を「存続会社」、合併によってなくなる会社を「消滅会社」と呼びます。事業の一部分だけではなく、消滅会社の権利や義務のすべてを引き継ぎます。

使用例

グループ内の二社を吸収合併し、一社にまとめる。

間違えやすい点新設合併は新しい会社を作ってまとめる方法です。吸収分割は事業に関する権利や義務の全部または一部を移す手続で、元の会社が必ず消えるわけではありません。

出典

会社法 ↗
第2条第27号、第748条以下

吸収分割

きゅうしゅうぶんかつ

会社分割のうち、事業に関する資産や契約などを、いまある別の会社へ引き継ぐ方法です。何を引き継ぐかは、会社間で作る吸収分割契約で定めます。工場や店舗などの事業を移す場合も、従業員や債権者の保護に必要な手続を進めます。

使用例

製造事業を吸収分割によって既存の子会社へ移す。

間違えやすい点新設分割は、引き継ぐ先の会社を新しく作ります。吸収合併と違い、吸収分割では事業を移す元の会社が必ず消滅するわけではありません。

出典

会社法 ↗
第2条第29号、第757条・第758条

吸収分割契約書

きゅうしゅうぶんかつけいやくしょ

会社の一部の事業を、すでにある別の会社へ引き継がせるときに結ぶ契約の書面です。どの財産、借入れ、契約などを引き継ぐか、いつ引き継ぐか、何を代わりに渡すかなどを記載します。引き継ぐ範囲を決める重要な書類です。

使用例

吸収分割契約書の別紙で、対象事業の設備や取引先との契約が引継ぎ対象に入っているかを見る。

間違えやすい点新会社に事業を移す新設分割では「新設分割計画」を作ります。また、契約書を作るだけで全手続が終わるわけではなく、株主や債権者を守る手続なども必要です。

出典

会社法(2026年3月31日時点) ↗
第757条・第758条(株式会社へ事業を引き継ぐ場合)

休眠会社

きゅうみんがいしゃ

日常の言い方では、登記は残っているものの、営業を休んでいる会社を指します。一方、会社法の整理手続では、長い間登記がされていない株式会社という、別の法律上の基準があります。事業を止めたことと、会社が消滅したことは同じではありません。

使用例

買収対象が休眠会社と説明されたため、登記の履歴、未払いの借金、税務申告などを確認する。

間違えやすい点「営業していないから何の義務もない」とは限りません。必要な登記や税務などは別に確認します。長期に登記を放置すると、法律上の手続により解散したものと扱われることもあります。

出典

法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」 ↗
休眠会社の法律上の基準・みなし解散

会社法 ↗
第472条

競業避止義務

きょうぎょうひしぎむ

競合する仕事をしないという義務です。M&Aでは、事業を売った人がすぐ近くで同じ商売を始めて顧客を奪うことなどを防ぐため、最終契約で定める場合があります。どの事業を、どの地域で、いつまで制限するかを確認します。

使用例

売り手が一定期間同じ地域で同じ店を開かないよう、競業避止義務を最終契約に定める。

間違えやすい点秘密保持は情報を守る約束、競業避止は競合する仕事を制限する約束です。すべての仕事が永久に禁止されるという意味ではなく、法律や契約により範囲が異なります。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月) ↗
第1章Ⅱ3(8)最終契約の交渉・締結/主要な契約事項

競争戦略

きょうそうせんりゃく

同じような商品やサービスを売る他社に対して、なぜ自社を選んでもらえるのかを決める考え方です。安く提供する、品質やサービスで違いを出す、特定のお客さまに集中する、などの方向があります。M&Aで何を補うかを考える土台にもなります。

使用例

専門技術に強みを持つ会社を買収し、価格の安さではなく技術力で選ばれる競争戦略を取る。

間違えやすい点売上目標は「どこまで伸ばすか」、競争戦略は「どう選ばれるか」です。買収自体を目的にせず、自社の強みやお客さまとの関係がどう変わるかを考えます。

出典

中小企業庁「2020年版中小企業白書」 ↗
第2部第1章第2節・競争戦略の類型

業務移管

ぎょうむいかん

ある部署や会社が行っていた仕事を、別の部署や会社が担当するように移すことです。M&Aでは、給与計算、商品の発注、システムの運用などを、買収後の新しい体制へ引き継ぐ場面で使います。仕事内容と担当者を整理して進めます。

使用例

買収した会社の給与計算を、本社の人事部へ業務移管する。

間違えやすい点会社の株式を買うことと、日々の仕事を移すことは別です。移管の途中で業務が止まらないよう、担当者、データ、権限、開始日、必要な研修も確認します。

出典

中小企業庁「中小PMIガイドライン」 ↗
中小PMI各論・業務統合/統合作業としての学習用整理

業務提携

ぎょうむていけい

別の会社と、お互いの事業の一部について協力することです。共同で商品を開発する、相手の商品を自社の店で売る、配送を共同化する、といった協力があります。会社を一つにせず、役割を分担して力を合わせられます。

使用例

食品メーカー同士が業務提携し、同じ地域への配送を共同で行う。

間違えやすい点会社の株式を持つ資本提携とは、協力の内容を指す点が違います。出資と業務上の協力を組み合わせる場合は資本業務提携と呼び、費用負担や情報共有の範囲も決めます。

出典

経済産業省「スタートアップ企業と事業会社の連携」 ↗
共同研究開発・ライセンスなどの連携プロセスと契約

許認可

きょにんか

別名・英字:許認可の承継/許認可の譲渡

ある事業を行うために、役所などへの手続を通じて得る必要がある許可や認可などをまとめた呼び方です。飲食店、運送業、医療や介護などでは、事業内容に応じた手続があります。M&Aでも、事業を引き継げば自動的に使えるとは限りません。

使用例

事業を買い取る前に、必要な許認可を買い手が取り直すのか、引き継げるのかを確認する。

間違えやすい点株式譲渡、事業譲渡、会社分割では確認点が変わります。会社分割ならすべて引き継げる、株式譲渡なら何の届出も要らない、と一律に考えず、事業ごとの法律と担当窓口に確認します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月) ↗
各M&A手法と留意点/事業譲渡、会社分割、法務DDの確認事項

拒否権

きょひけん

ある決定に同意せず、その決定を止められる権利です。M&Aでは、重要な事業の売却や追加の借入れなどについて、特定の株主の承認も必要とする約束がないかを確認します。反対の意見を言えるだけの状態とは区別します。

使用例

株主間契約を読み、少数株主が重要な経営判断に拒否権を持っていないか調べる。

間違えやすい点拒否権の根拠は、株式の種類による権利なのか、株主同士の契約なのかで異なります。契約上の約束に違反した場合と、会社の決定自体が効力を持たない場合を同じに考えないことが大切です。

出典

会社法 ↗
第108条第1項第8号/第323条(種類株主総会の決議を要する事項)

拒否権付株式

きょひけんつきかぶしき

会社の特定の決定について、その種類の株式を持つ株主の会議でも承認が必要になる株式です。通常の株主総会で多数が賛成しても、別に必要な承認が得られなければ決定が効力を持たないようにできます。黄金株と呼ばれることもあります。

使用例

拒否権付株式の保有者と、合併の承認が必要になる議題の範囲を確認する。

間違えやすい点株式を少し持つだけで、すべての議題を自由に止められる制度ではありません。何について別の承認を求めるかは定款で定めます。株主間契約に定める拒否権とは仕組みが異なります。

出典

会社法 ↗
第108条第1項第8号/第323条

キラービー

きらーびー

別名・英字:キラー・ビー

買収を望まない会社の側に立ち、買収提案への対抗策を考える投資銀行などの助言者を指す俗称です。「何かを買う手法」ではなく、支援する人・組織の呼び名です。

使用例

買収提案を受けた会社が、防衛策を検討する助言者をキラービーと呼ぶ。

間違えやすい点買収先の味方として株式を買う第三者と、助言をするだけの専門家は別です。呼び名が付いていても、どの対応も適法・適切になるわけではありません。

出典

M&Aネット「M&Aの用語集」 ↗
買収関連用語の実務上の呼称

銀行

ぎんこう

預金を受け入れ、お金を貸したり振込みなどを扱ったりする金融機関です。M&Aでは、普段から会社を知る相談先、買収資金を貸す先、借入れや経営者保証の扱いを調整する相手など、複数の役割で登場します。

使用例

買い手が買収資金の融資を銀行へ相談し、売り手は既存の借入れや個人保証の扱いを相談する。

間違えやすい点融資する銀行と、M&Aの交渉を支援する担当者では役割が違います。同じ銀行が複数の役割を持つ場合もあるため、業務の範囲、費用、誰の立場で助言するかを確認します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月) ↗
第2章・金融機関の役割/第1章Ⅱ3(8)①・経営者保証の扱い

金庫株

きんこかぶ

会社が、自分で発行した株式を買い戻すなどして保有している状態を表す呼び名です。正式な会計・法律の説明では「自己株式」と書かれます。株式を金庫にしまうという言葉ですが、紙の株券を実際に保管しているかどうかの話ではありません。

使用例

対象会社に金庫株があるため、買い手が取得する株数と議決権の割合を分けて確認する。

間違えやすい点自己株式は、会社自身が株主として投票するための株式ではなく、議決権がありません。取得・保有が一律に禁止されているわけでもなく、法律上の手続や使える財産の制限を確認します。

出典

日本取引所グループ「自己株式」 ↗
自己株式の取得・保有

会社法 ↗
第155条以下/第308条第2項

金融商品取引法

きんゆうしょうひんとりひきほう

株式などの金融商品の取引や情報開示について定める法律です。投資する人が必要な情報を得て判断できるようにし、不公正な取引を防ぐなどの役割があります。M&Aでは、公開買付け、株式の大量保有の報告、インサイダー取引などが関係します。

使用例

上場会社の株式を買い集める前に、金融商品取引法上の公開買付けや報告のルールを確認する。

間違えやすい点会社の設立や機関、組織再編などを定める会社法とは役割が異なります。一つのM&Aに両方が関係する場合があり、どちらかだけを読めばよいわけではありません。

出典

金融商品取引法(2026年3月31日時点) ↗
第1条、第27条の2以下、第27条の23、第166条・第167条

偶発債務

ぐうはつさいむ

今は支払いが確定していなくても、将来の出来事によって会社の負担になる可能性があるものです。他社の借入れの保証や、訴訟での損害賠償などが例です。

使用例

買収前の調査で、決算書の注記や訴訟資料から偶発債務を確認する。

間違えやすい点帳簿に負債として大きく表示されていないからといって、負担がないとは限りません。発生する可能性、金額、契約上の負担者を分けて調べます。

出典

財務諸表等規則 ↗
偶発債務の注記・第58条

グッドウィル

ぐっどうぃる

別名・英字:Goodwill/のれん

買収時に一つずつ確認・評価した資産から借金などを差し引いた額より、支払う金額が大きい場合に生じる差額です。『のれん』とも呼びます。

使用例

会社全体を取得する単純な例で、評価後の資産と負債の差額が4,000万円、取得額が6,000万円なら、差額2,000万円がのれんになります。

間違えやすい点会社の評判をそのまま好きな金額で資産にすることではありません。会計上の計算と認識が必要で、その後の処理も日本基準とIFRSなどで異なります。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「のれん」 ↗
のれんの定義・日本基準とIFRSの違い

クラウンジュエル

くらうんじゅえる

別名・英字:クラウン・ジュエル

会社の中で、とくに価値や魅力が大きい事業・子会社・資産を指す呼び名です。たとえば、主力の特許や高い利益を生む事業が、買い手の狙いになることがあります。

使用例

買い手が最も取得したい事業を、対象会社のクラウンジュエルと呼ぶ。

間違えやすい点それを売却して買収の魅力を下げる防衛策の意味でも使いますが、売却は会社自身の価値を傷つけることもあります。「大切な事業」と「防衛策」を文脈で区別します。

出典

M&Aネット「M&Aの用語集」 ↗
買収関連用語の実務上の呼称

繰越欠損金

くりこしけっそんきん

法人税の計算上で生じた過去の赤字のうち、一定の条件で将来の所得から差し引けるものです。将来の税負担を考える際に確認する項目です。

使用例

買収候補に繰越欠損金があるため、利用できる金額と条件を税務調査で確認する。

間違えやすい点決算書の赤字が、そのまますべて使えるわけではありません。申告・保存の要件、利用限度や期限、買収や組織再編に伴う制限などがあります。

出典

国税庁「青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」 ↗
No.5762・概要及び控除制限(閲覧ページは2026年4月1日更新)

繰延税金資産

くりのべぜいきんしさん

会計と税金の計算で費用になる時期が違う場合などに、将来の税金が減る効果を見積もって計上する資産です。将来利用できる見込みがある範囲で認識します。

使用例

買収先の繰延税金資産について、将来の利益計画から本当に税負担が減るかを確認する。

間違えやすい点現金が積み立てられている資産ではありません。将来の課税される利益などが足りなければ使えず、計上額の見直しが必要になります。

出典

ASBJ 企業結合会計の適用指針 ↗
第71項・取得企業の税効果会計、回収見込額

グリーンメール

ぐりーんめーる

別名・英字:グリーン・メール

会社の株式を買い集め、その会社や関係者に高く買い戻させて利益を得ようとする行為です。会社を長く経営することより、買戻しによる利益を狙う点に特徴があります。

使用例

大量に株式を買った者の要求が、グリーンメールを狙ったものか検討する。

間違えやすい点株主が会社の改善を求める行為のすべてを指す言葉ではありません。高値での買戻しを迫る目的や行動を確かめ、通常の投資や提案と区別します。

出典

SMBC日興証券「グリーンメール」 ↗
用語の定義

クレイトン法

くれいとんほう

米国で、公正な競争を守るために使われる法律の一つです。M&Aでは、会社をまとめることで競争が大きく損なわれるおそれがないかを判断する際に関わります。

使用例

米国企業の買収について、クレイトン法に基づく審査の要否を確認する。

間違えやすい点日本の独占禁止法とは別の法律です。海外M&Aでは、日本で認められる取引でも、米国など関係する国の競争法を別に調べる必要があります。

出典

米FTC「Clayton Act」 ↗
企業結合等とSection7

クレジットスプレッド

くれじっとすぷれっど

お金を貸した相手が返済できなくなるリスクなどを反映して、基準となる金利に上乗せされる金利差です。通常、返済への不安が大きいほど、貸し手は高い利回りを求めます。

使用例

買収資金の借入れについて、基準金利に上乗せされるスプレッドを比べる。

間違えやすい点基準金利そのものとは違います。金利差には返済リスク以外に、売買のしやすさなどの要因も含まれ、差だけで倒産確率を断定はできません。

出典

ゆうちょ銀行「IR用語集」 ↗
クレジットスプレッド

黒字倒産

くろじとうさん

売上から費用を引くと利益が出ていても、支払日に必要な現金が足りず、事業を続けられなくなることです。売上代金の入金より、仕入れや給与の支払いが先に来ると起こり得ます。

売上が立っても、入金前に支払日が来ることがあります。利益と、支払えるお金は別に確認します。
売上が立っても、入金前に支払日が来ることがあります。利益と、支払えるお金は別に確認します。
使用例

売上拡大で未回収代金が増えているため、黒字倒産を防ぐ資金繰りを確認する。

間違えやすい点赤字と倒産は同じではありません。利益が出ていても資金が尽きる場合があるため、利益の計画と入金・出金の予定を両方確認します。

出典

中小機構J-Net21「黒字倒産とはどのようなものでしょうか?」 ↗
利益と支払資金の違い

クロージング

くろーじんぐ

契約で約束した取引を、実際に実行することです。株式や事業を引き渡し、その代金を払い、必要な書類を受け渡します。契約書に署名する日と、実行する日が別になることもあります。

使用例

クロージング当日に、代金の入金と株式の引渡しに必要な手続を確認する。

間違えやすい点契約に署名しただけで、すべての手続が終わるわけではありません。実行前に必要な承認などを済ませ、実行後の届出や引継ぎも分けて管理します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版 ↗
第1章・M&Aの手続と最終契約

クロージング条件

くろーじんぐじょうけん

別名・英字:クロージング・コンディション

取引を実行する前に、満たしておくと契約で決めた条件です。必要な承認を得ることや、約束した書類が用意されていることなどを定めます。実行前提条件とも呼びます。

使用例

必要な許認可上の手続が済んだか、クロージング条件を一覧で確認する。

間違えやすい点条件が満たされない場合の扱いは契約によります。実行を待つのか、条件を免除できるのか、契約を終えるのかを、条項ごとに確認します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版 ↗
第1章・M&Aの手続と最終契約

クロスボーダーM&A

くろすぼーだーえむあんどえー

別名・英字:クロスボーダー/海外M&A

国境を越えて行う会社や事業の売買・統合です。日本の会社が海外の会社を買う場合だけでなく、海外企業が日本の会社を買う場合も含みます。

使用例

日本企業が海外の販売会社を買収するクロスボーダーM&Aを進める。

間違えやすい点国内M&Aに比べ、言語や通貨、税制、雇用、許認可などの違いを確認する範囲が広がります。単に外国語の契約書を使う取引という意味ではありません。

出典

経済産業省「対日M&A活用に関する事例集」 ↗
海外資本を活用したM&A・用語の定義

経営改善計画書

けいえいかいぜんけいかくしょ

経営上の問題をどう解決するかを、具体的な行動と数字でまとめた書類です。売上や費用をどう改善するか、誰がいつ実行するか、返済や手元のお金をどう確保するかなどを整理します。金融機関と今後の支援を話し合う材料にもなります。

使用例

赤字の原因を整理し、不採算商品の見直しと資金繰りの改善策を経営改善計画書にまとめる。

間違えやすい点「来年は頑張る」という目標だけでは足りません。実現できる根拠と実行状況の確認が必要です。補助や支援を受ける計画では、制度ごとの指定内容も確認します。

出典

中小機構「認定経営革新等支援機関による支援(再生等)」 ↗
経営改善計画・早期経営改善計画の策定支援

経営権

けいえいけん

会社の経営方針や経営者の選任などに、実質的な影響を及ぼせる立場や力を指す言葉です。M&Aでは、株式を買って株主総会で使える票を増やし、経営を動かせる状態にする場面などで使われます。単一の法律上の権利だけを指すとは限りません。

使用例

買い手が多くの議決権を取得し、取締役の選任などを通じて経営権を握る。

間違えやすい点株式の保有割合だけで機械的に決まるとは限りません。票を使えない種類の株式や株主間の約束にも注意が必要です。社長という肩書や、会社を代表する権限とも区別します。

出典

会社法(2026年3月31日時点) ↗
第105条・株主の権利、第308条・議決権、第329条・役員等の選任

経営資源

けいえいしげん

事業を行うために使う、人、設備、お金、情報などのことです。従業員の技術、工場や店、取引先との関係、ブランド、仕事のノウハウも事業を支える力になります。M&Aでは、自社に足りない経営資源を引き継ぐことが目的になる場合があります。

使用例

技術者が不足している会社が、経験豊富な人材を持つ会社を買収して経営資源を補う。

間違えやすい点現金や不動産だけを指す言葉ではありません。会社の価値を考えるときは、決算書の数字に表れにくい人材、信用、顧客とのつながりにも目を向けます。

出典

中小企業庁「2022年版中小企業白書」 ↗
第2部第2章第2節・ヒト、モノ、カネ、情報という経営資源

経営資源集約化税制

けいえいしげんしゅうやくかぜいせい

M&Aなどで人材・設備・販路といった経営に使う資源をまとめ、生産性を上げる取組を後押しする税制の呼び方です。一定の計画認定などを受けた企業が対象になります。

使用例

買収前に経営資源集約化税制の対象かを調べ、必要な計画認定と調査の手順を確認する。

間違えやすい点買収すれば誰でも使える減税ではありません。制度の類型、適用時期、事前手続や事後の取崩しなどがあるため、実施時点の条件を確認します。

出典

中小企業庁「中小企業の経営資源の集約化に資する税制 概要・手引き」 ↗
経営力向上計画・中小企業事業再編投資損失準備金(2023年版は制度の基本趣旨のみ参照)

経営者保証

けいえいしゃほしょう

別名・英字:個人保証

会社の借入れなどについて、経営者個人が保証人となり、会社が返済できない場合に代わりの支払いを求められ得る仕組みです。会社が借りたお金でも、経営者個人の財産に影響する可能性があります。事業承継やM&Aでは扱いの確認が欠かせません。

使用例

売り手の経営者が、株式を売った後も個人の保証が残らないよう金融機関と解除を相談する。

間違えやすい点株式を売ったり社長を辞めたりするだけで、自動的に保証が外れるわけではありません。金融機関との調整、契約での取り決め、実際の解除の確認を分けて進めます。

出典

中小企業庁「経営者保証」 ↗
1.経営者保証とは/中小M&Aガイドライン第3版・第1章Ⅱ3(8)①

経営承継円滑化法

けいえいしょうけいえんかつかほう

省略される呼び方:経営承継法

中小企業の事業を次の経営者へ引き継ぎやすくするための法律です。正式名は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」です。税金、資金調達、相続、所在不明の株主など、事業承継の障害に対応する支援の枠組みを定めています。

使用例

会社を引き継ぐ後継者が、経営承継円滑化法に基づく金融支援の認定要件を確認する。

間違えやすい点「認定を受ければM&Aの税金がすべて免除される」という制度ではありません。支援ごとに対象者や手続が異なり、税制支援にも別の要件があります。

出典

中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」 ↗
法律の概要・認定による税制支援、金融支援、民法・会社法の特例

経営戦略

けいえいせんりゃく

会社が将来どんな姿を目指し、どの事業やお客さまに力を入れ、人やお金をどう使うかを決める大きな方針です。新しい店を出す、自社で新商品を開発する、他社を買収するなど、目標を実現する方法を比較します。

使用例

地方だけで販売している会社が、全国販売を目指す経営戦略の一つとして販売会社の買収を検討する。

間違えやすい点目先の作業予定だけを指す言葉ではありません。競争戦略は他社に対してどう選ばれるかという観点で、経営戦略の中の重要な一部分です。

出典

中小機構J-Net21「経営の経験が浅いため会社の方向性を決められず困っています」 ↗
戦略策定・行動計画策定

経営統合

けいえいとうごう

複数の会社が一体となって経営を進めるために、方針、経営体制、意思決定の仕組みなどをそろえることです。会社を買った後も、人や仕事の進め方はすぐにはそろいません。何を共通化し、何を残すかを話し合って進めます。

使用例

買収後の経営統合で、両社の目標、役員の役割、決裁のルールを整理する。

間違えやすい点法律上会社を一つにする合併とは同じではありません。別法人のまま経営を一体化する場合もあり、会社名やシステムをただ同じにするだけの作業でもありません。

出典

中小企業庁「中小PMIガイドライン」 ↗
中小PMI各論2-4・経営の方向性、経営体制、経営の仕組み

経営判断の原則

けいえいはんだんのげんそく

会社の経営について、結果が失敗だったという理由だけで取締役の責任を決めない、という考え方です。判断した当時、必要な情報を集めて検討したか、判断の進め方や内容が著しく不合理ではなかったかなどを見ます。

使用例

買収後に損失が出たとき、買収決定までに行った調査や比較検討の記録を確認する。

間違えやすい点「経営判断なら何をしても責任がない」という意味ではありません。結果だけでなく判断に至る過程が重要で、情報収集や調査を怠った場合まで一律に守られるものではありません。

出典

国会会議録・第200回国会 衆議院法務委員会第11号 ↗
2019年11月22日・政府参考人による経営判断原則の説明

経営不振

けいえいふしん

会社の事業が順調に進まず、売上や利益、資金繰りなどに問題が起きている状態です。お客さまが減っている、仕入れ値が上がって利益が残らない、借入れの返済が重い、など原因はさまざまです。原因に応じて対策を考えます。

使用例

売上の減少と原材料費の上昇で経営不振となり、事業の見直しや他社への譲渡を検討する。

間違えやすい点経営不振と倒産は同じではありません。また、利益が赤字でなくても、支払いに必要な現金が足りなくなる場合があります。損益と現金の両方を確認します。

出典

中小企業庁「資金繰りを安定させよう」 ↗
収益力改善・再生支援/資金繰り安定のポイント

経済付加価値

けいざいふかかち

別名・英字:EVA

事業で稼いだ利益から、その事業にお金を出した人が期待する資金のコストを差し引き、価値を増やせたかを考える指標です。EVAと呼ばれます。

使用例

会計上は黒字でも、資金のコストを差し引いた経済付加価値が十分かを確認する。

間違えやすい点売上や会計上の利益そのものではありません。投入した資金の額や計算上の調整によって変わるため、会社間では計算の条件をそろえます。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「EVA」 ↗
資金提供者の期待利益を差し引く評価

継続所有義務

けいぞくしょゆうぎむ

M&Aの税務などで、再編によって受け取った株式などを引き続き保有することを求める条件を指すことがあります。組織再編税制では「株式継続保有要件」など、具体的な要件として確認します。

使用例

組織再編の税務上の扱いを検討し、交付された株式を継続保有する要件を確認する。

間違えやすい点すべてのM&Aに一律の売却禁止があるという意味ではありません。契約で決める保有・売却制限と税務上の要件を分け、誰が何をどの条件で保有するかを確かめます。

出典

経済産業省「スピンオフ活用の手引」 ↗
適格要件のポイント・株式継続保有要件

契約書

けいやくしょ

当事者が約束した内容を記録した書面です。M&Aでは、何を、いつ、いくらで引き渡すか、問題が見つかったら誰がどう対応するかなどを明確にします。後から「聞いていた話が違う」とならないように、条件を確かめる役割があります。

使用例

株式譲渡契約書で、売る株式数、代金、支払日、取引を中止できる条件を確認する。

間違えやすい点原則として契約は書面がなくても成立しますが、法律が特別な方式を求める契約もあります。署名する前に内容を理解することが大切で、「契約書」という題名だけで効力は判断できません。

出典

民法(2026年3月31日時点) ↗
第522条・契約の成立と方式

決算

けっさん

一定期間の取引を締めくくり、利益や資産・負債の状態を計算して書類にまとめることです。会社の経営成績と財政状態を知るための出発点になります。

使用例

買収候補の直近3期の決算と、最近の月ごとの業績を確認する。

間違えやすい点決算で利益が出ていることと、支払いに使える現金が十分あることは別です。過去の決算だけでなく、その後の取引や資金繰りも確認します。

出典

中小企業庁「中小企業の会計」 ↗
会計を事業に活用しよう・決算書と資金繰り

現在価値

げんざいかち

将来受け取るお金を、「今受け取るならいくらに相当するか」に直した金額です。受け取るまでの期間や、受け取れないリスクを考慮します。

使用例

1年後の110万円を年10%で割り引くと、現在価値は100万円になる。

間違えやすい点将来の金額を単に足し合わせることとは違います。計算に使う率や時期が変われば現在価値も変わるため、前提を確認します。

出典

Aswath Damodaran(NYU Stern)Valuation Basics ↗
Discounted cash flow valuation / Gordon growth model

原資産価格

げんしさんかかく

オプションなどの取引が対象にしている株式、商品、指数などの価格です。例えば株式を買う権利を評価するとき、その株式自体の価格が原資産価格になります。

使用例

買収候補が発行した新株予約権を評価するため、原資産である株式の価格を調べる。

間違えやすい点権利の値段と、その権利が対象とする資産の値段は別です。「将来この価格で買える」という権利行使価格とも区別します。

出典

日本取引所グループ「原資産」 ↗
先物・オプション取引の対象

源泉徴収

げんせんちょうしゅう

給与や配当などのお金を支払う側が、一定の所得税などを差し引き、受け取る人に代わって国へ納める仕組みです。対象となる支払いは税法で定められています。

使用例

買収後に支払う役員退職金などについて、源泉徴収が必要かを確認する。

間違えやすい点すべての支払いで税金を引くわけではありません。非上場株式の売買代金も、上場株式の源泉徴収口座と同じ扱いにできるとは限らず、支払いの種類ごとに確認します。

出典

国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」 ↗
第1 源泉徴収制度について(2025年9月1日現在法令等に基づく資料)

国税庁「特定口座制度」 ↗
No.1476・源泉徴収口座

国税庁「株式・配当・利子と税」 ↗
株式等譲渡益課税制度・譲渡益の計算

原則的評価方式

げんそくてきひょうかほうしき

相続税・贈与税で非上場株式を評価するとき、創業者一族など会社の経営に影響を持つ株主に適用される基本的な評価の枠組みです。会社の規模などに応じ、似た業種の会社や純資産を基に計算します。

使用例

贈与される非上場株式について、株主の立場と会社規模を確認し、原則的評価方式を検討する。

間違えやすい点「あらゆるM&Aで原則として使う方法」という意味ではありません。会社の経営への影響が小さい株主向けの特例や、特定の会社に使う方法もあり、税務上の株主区分と条件を確認します。

出典

国税庁「取引相場のない株式の評価」 ↗
No.4638・原則的評価方式、特定の評価会社

減損会計

げんそんかいけい

表記に注意(「減損価格」は減損会計を指す場合があります):減損価格

設備やのれんなどの資産について、将来の稼ぎなどで帳簿の金額を回収できない場合に、一定のルールに従って帳簿価額を減らし、損失を計上する会計処理です。

使用例

買収後の業績が想定を下回ったため、のれんなどに減損が必要かを確認する。

間違えやすい点単なる市場価格の下落と、会計上の減損の判定は同じではありません。「減損価格」は一般的な制度名として使わず、減損損失や減損後の帳簿価額を区別します。

出典

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準」 ↗
減損損失の認識と測定

減損テスト

げんそんてすと

資産の帳簿価額を減らす必要があるかを、将来得られるお金などと比較して確かめる検討です。買収時に計上したのれんの見直しでも使われる言葉です。

使用例

買収先の利益が減ったため、事業計画を見直して減損テストを行う。

間違えやすい点日本基準とIFRSでは、検討する時期や判定・金額計算の手順が異なります。「毎年すべての資産を同じ方法で減額する」という意味ではありません。

出典

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準」 ↗
減損損失の認識と測定

一橋大学ファイナンス用語集「のれん」 ↗
のれんの定義・日本基準とIFRSの違い

現物出資

げんぶつしゅっし

会社にお金を払い込む代わりに、不動産や他社の株式など、お金以外の財産を渡して出資することです。出資した人は、会社から株式や出資者としての地位を受け取ります。渡す財産がいくらの価値かを確認することが重要です。

使用例

保有する不動産を現物出資し、新会社の株式を受け取る。

間違えやすい点財産を会社に売って代金をもらう売買とは異なります。出資として渡す財産を高く見積もりすぎると、ほかの出資者などに不利益が生じるため、評価や調査の手続が必要になる場合があります。

出典

千葉地方法務局「現物出資について」 ↗
1 現物出資とは/2 現物出資の手続について

会社法 ↗
第28条・第33条/第199条・第207条

コア事業

こあじぎょう

会社が経営の中心に置き、人やお金を優先して使う事業です。現在の売上が大きい事業だけでなく、今後の成長の柱として育てる事業を含めて使うこともあります。

使用例

コア事業に集中するため、別の事業を切り出して売却する。

間違えやすい点コア事業でないことは、価値がない・赤字であることと同じではありません。別の会社が運営した方が成長できる事業もあり、どの事業を中心にするかは各社で違います。

出典

中小企業庁「中小PMIガイドライン」 ↗
第2章・シナジー/会計・財務の統合

ゴーイングコンサーン

ごーいんぐこんさーん

会社が、近い将来にやめるのではなく、事業を続けていくという会計上の前提です。継続企業の前提とも呼び、通常の決算書はこの前提で作られます。

使用例

買収先の決算書に、ゴーイングコンサーンに関する注記がないか確認する。

間違えやすい点注記があることと、倒産が決まったことは同じではありません。資金繰りなどの問題、その解消策、なお残る不確実さを確認します。

出典

日本公認会計士協会「継続企業の前提」 ↗
会計・監査用語かんたん解説集

ゴーイングプライベート

ごーいんぐぷらいべーと

別名・英字:ゴーイング・プライベート

上場会社が株式を証券取引所で売買できる状態から外れ、非上場の会社になることです。経営者や他の買い手が株式を買い集めるM&Aなどで行われます。

使用例

経営者による買収を通じ、対象会社のゴーイングプライベートを進める。

間違えやすい点非上場になることと、会社がなくなることは別です。少数の株主に不利になりやすい取引では、価格や手続の公正さを確かめることが重要です。

出典

経済産業省「M&Aに関する各種ガイドライン及び出版物」 ↗
公正なM&Aの在り方に関する指針(2019年)

公開買付届出書

こうかいかいつけとどけでしょ

株式を公開買付けで買い集める人が、買う目的、価格、期間、予定する株数などを詳しく記した提出書類です。株式を持つ人が「この条件で売るか」を判断するための情報になります。EDINETという金融庁の電子開示システムで閲覧できます。

使用例

株主が公開買付届出書を読み、買付価格と応募期間、成立するための条件を確かめる。

間違えやすい点買収対象の会社が作る資料ではなく、基本的には買い集める側の書類です。株主に広く知らせる公告とも、記載する詳しさや役割が異なります。

出典

金融商品取引法(2026年3月31日時点) ↗
第27条の3第2項・公開買付届出書

合同会社

ごうどうがいしゃ

出資した人が、原則としてその出資額を限度に責任を負う会社の形です。出資者同士の合意で経営の役割や利益の分け方を決めやすい特徴があります。法律では出資者を「社員」と呼びますが、ここでいう社員は従業員という意味ではありません。

使用例

買収対象が合同会社なので、株式ではなく出資者の地位を譲る手続を確認する。

間違えやすい点株式会社と違い「株式」はありません。買収するときは出資者の地位である持分の移転などを検討し、他の出資者の同意や会社の基本ルールを確認します。

出典

法務省「合同会社の設立手続について」 ↗
定款の記載事項/有限責任社員/持分譲渡・業務執行

会社法 ↗
第576条・第585条

交付金合併

こうふきんがっぺい

吸収合併で消滅する会社の株主に、存続する会社の株式を渡す代わりに、お金を渡す形の合併です。会社同士は合併しますが、お金を受け取った元の株主が、そのまま存続会社の株主になるとは限りません。

使用例

合併後の株主構成を整理するため、消滅会社の株主へ現金を渡す交付金合併を検討する。

間違えやすい点「交付金」は行政から受ける補助金の意味ではありません。何を株主に渡すかという合併条件の話です。税金の扱いも、株式だけを渡す場合と同じとは限りません。

出典

会社法 ↗
第749条第1項第2号(金銭等の交付)

合弁会社

ごうべんがいしゃ

複数の会社などが共同でお金を出し、事業を運営する会社です。「どちらも50%ずつ出す会社」に限らず、出すお金や株式の保有割合が異なる場合もあります。参加する会社は、それぞれの技術、人材、販売先などを持ち寄ります。

使用例

食品会社と物流会社が合弁会社を作り、冷凍食品の配送サービスを共同で運営する。

間違えやすい点合弁会社は共同事業を行う「会社」、合弁企業の設立はそれを作る「行為」です。出資割合だけで全てが決まるとは限らず、契約や会社のルールも確認します。

出典

公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」 ↗
第4・共同出資会社の扱い

合弁企業の設立

ごうべんきぎょうのせつりつ

複数の会社などが、お金や技術を出し合い、共同で事業を進める会社を作ることです。たとえば、製造技術がある会社と販売網がある会社が、新商品を売るための会社を一緒に設立します。作った会社は「合弁会社」と呼ばれます。

使用例

国内メーカーと海外販売会社が合弁企業を設立し、現地での商品販売を始める。

間違えやすい点単に商品の売り買いで協力する業務提携と異なり、共同で運営する会社を用意します。お金の出し方だけでなく、誰が経営を決めるか、協力を終える条件も決めます。

出典

公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」 ↗
第4・共同出資会社の扱い

公募増資

こうぼぞうし

会社が新しい株式を発行し、広く投資家を募って事業に使うお金を集める方法です。株式を買ってもらったお金は会社に入ります。特定の相手だけに引き受けてもらう方法とは区別します。

使用例

新しい設備に投資する資金を、公募増資で集める。

間違えやすい点すでに株式を持つ人が株式を売る場合は、通常、その売却代金は売り手に入ります。公募増資は会社の資金調達です。発行済みの株数が増えるため、既存株主の割合や1株当たり利益への影響も確認します。

出典

日本取引所グループ「公募増資」 ↗
用語解説

子会社

こがいしゃ

別の会社に経営の決定を支配されている会社です。典型的なのは、親会社が株主の投票権の過半数を持っている場合です。ただし、実際に誰が経営を決められるかによって判定するため、株式の割合だけで決まらない場合もあります。

使用例

買収後に対象会社を子会社として残し、別法人のまま経営を管理する。

間違えやすい点子会社になっても、会社の資産がすべて親会社のものに変わるわけではありません。会社同士は別の法人です。また、株式を100%持つ完全子会社と、ほかの株主が残る子会社を区別します。

出典

会社法 ↗
第2条第3号(子会社)

国際財務報告基準

こくさいざいむほうこくきじゅん

別名・英字:IFRS

会社の決算書を作るための国際的な会計ルールです。IFRSと呼びます。日本の会計基準とは違うため、海外企業などの決算を比較するときには採用している基準を確認します。

使用例

日本基準の会社とIFRSの会社を比較する際、のれんなどの処理の違いを調整する。

間違えやすい点世界の会社がすべて同じ基準を使うわけではありません。のれんの償却・減損なども日本基準と異なるため、利益の数字だけを単純比較しません。

出典

IFRS Foundation「Issued IFRS Standards」 ↗
IFRS Accounting Standards / IAS・IFRS・解釈指針

一橋大学ファイナンス用語集「のれん」 ↗
のれんの定義・日本基準とIFRSの違い

国際租税条約

こくさいそぜいじょうやく

国をまたぐ所得について、どの国がどこまで税金をかけるかなどを定める国際的な取り決めです。同じ所得に重ねて課税されることの調整や、脱税への対応などを目的とします。

使用例

海外子会社から配当を受ける際、相手国との租税条約と必要な手続を確認する。

間違えやすい点条約があるだけで自動的にすべて免税になるわけではありません。国・所得・受取人の条件や申請手続によって扱いが異なります。

出典

財務省「租税条約に関する資料」 ↗
租税条約の概要(国数・更新後の条約数は本文に採用しない)

国内M&A

こくないえむあんどえー

日本国内の会社や事業を対象に、国内の当事者同士で行うM&Aを指す言葉です。たとえば、日本の会社が別の日本の会社の株式を買う場合です。国内同士でも、業種や地域、会社の文化が違えば、調整する内容は変わります。

使用例

関東の会社が関西の同業会社を買収し、国内M&Aによって販売地域を広げる。

間違えやすい点国境をまたぐクロスボーダーM&Aと区別する呼び方です。法令上の一つの取引方法を示す言葉ではなく、株式譲渡、事業譲渡、合併などを使って実施します。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月) ↗
第1章・M&Aの用語説明と手法/国内取引としての学習用整理

個人M&A

こじんえむあんどえー

会社ではなく、個人が買い手となって会社や事業を引き継ぐM&Aを指す言葉です。自分で店を一から作る代わりに、すでに営業している店や会社を引き継ぎ、経営を始める場合などがあります。

使用例

会社員を退職した人が、後継者のいない飲食店の事業を買い取って経営を引き継ぐ。

間違えやすい点「小さい買収」「安い買収」という意味ではありません。購入費以外の運転資金や借入れ、契約、許認可、人の引継ぎも調べる必要があります。

出典

中小企業庁「2021年版中小企業白書」 ↗
第2部第3章第2節・個人事業者や起業家によるM&A、事例2-3-9

コストアプローチ

こすとあぷろーち

別名・英字:Cost Approach

会社が持つ資産と負債に着目して、会社の価値を考える評価の枠組みです。例えば、資産を『いま売買するとしたらいくらか』で評価し直し、負債を差し引く方法があります。

使用例

不動産などの資産を見直し、コストアプローチで株式価値を検討する。

間違えやすい点買収の手数料や作業費を計算することではありません。また、将来の成長や人材など、帳簿に表れにくい価値を十分に捉えない場合があります。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章Ⅱ3(3)バリュエーション

コストシナジー

こすとしなじー

会社や事業を組み合わせることで、別々に運営するより費用を減らせる効果です。仕入れをまとめる、重複する事務を共通化するなどの方法があります。

使用例

買収後に共同で仕入れることで、年間のコストシナジーを見積もる。

間違えやすい点売上を増やす効果とは分けて考えます。統合のための費用もかかるため、減る費用だけでなく、いつ実現し、いくら準備費用が必要かも確認します。

出典

中小企業庁「中小PMIガイドライン」 ↗
第2章・シナジー/会計・財務の統合

ゴードンモデル

ごーどんもでる

表記に注意(通常は「ゴードンモデル」と表記):ゴートンモデル

将来の配当が毎年一定の割合で増え続けると仮定して、株式の価値を求めるモデルです。「翌期の配当÷(株主が求める収益率-配当の成長率)」が基本形です。

使用例

安定した会社について、配当が長期に同じ割合で増える前提で株式価値を計算する。

間違えやすい点成長率は、株主が求める収益率より低い必要があります。高成長が永久に続く会社に、そのまま使うことはできません。「ゴートン」は表記誤りに注意します。

出典

Aswath Damodaran(NYU Stern)Valuation Basics ↗
Discounted cash flow valuation / Gordon growth model

コベナンツ

こべなんつ

借入れや社債でお金を調達するときなどに、借りる側が守ると約束する条件です。一定の財務状態を保つことや、重要な情報を報告することなどを定めます。

使用例

買収後の借入金について、コベナンツに違反しないか財務計画を確認する。

間違えやすい点担保や保証人そのものとは別です。違反したときに直ちに全額返済となるか、話合いの余地があるかなどは契約により異なるので、条件と違反時の扱いを一緒に読みます。

出典

日本証券業協会「コベナンツモデル」 ↗
コベナンツの解説と規定例

コーポレートガバナンス

こーぽれーとがばなんす

別名・英字:企業統治

会社の経営者が適切に判断し、必要な説明をし、その判断を確認・監督できるようにする仕組みです。会社が長く成長し、株主などの利益を守るために整えます。

使用例

買収後のコーポレートガバナンスを整えるため、決裁権限と取締役会への報告を定める。

間違えやすい点法律を守るコンプライアンスと関わりますが、同じ意味ではありません。誰が決め、誰が監督し、どの情報を共有するかという経営の仕組みに着目します。

出典

金融庁「コーポレートガバナンス改革に向けた取組み」 ↗
2024年公表・企業の持続的成長と企業価値

コーポレートファイナンス

こーぽれーとふぁいなんす

会社が、どこからお金を集め、何に使い、得た成果をどう分けるかを考える分野です。借入れ、出資、設備投資、M&A、配当などをつなげて判断します。

使用例

買収価格だけでなく、資金の調達方法と買収後の収益をコーポレートファイナンスの観点で検討する。

間違えやすい点経理が過去の取引を記録することだけを指す言葉ではありません。将来の投資や資金配分をどう決めるかという判断も含みます。

出典

一橋大学ファイナンス用語集「WACC」 ↗
株主資本コスト・負債コストと構成比

一橋大学ファイナンス用語集「企業価値」 ↗
企業価値・株式価値・負債価値の関係

ゴールデンパラシュート

ごーるでんぱらしゅーと

買収に伴って経営陣が退任したり権限を失ったりするときに、多額の退職金などを払うとあらかじめ決める仕組みです。買い手の費用を増やす防衛策として説明されることがあります。

使用例

買収に必要な資金を見積もる際、役員契約のゴールデンパラシュートを確認する。

間違えやすい点一般的な退職金すべてを指す言葉ではありません。経営者を守るだけの仕組みになっていないかなど、株主への影響や決め方も問題になります。

出典

野村證券「ゴールデン・パラシュート」 ↗
買収時の役員報酬・退職金に関する呼称

コングロマリット

こんぐろまりっと

互いに関連の薄い、異なる業種の事業をいくつも持つ企業や企業グループです。たとえば、食品、金融、機械のように性質の違う事業を一つのグループで経営します。

使用例

異業種の会社を買収し、コングロマリットとして事業を広げる。

間違えやすい点子会社が多い会社すべてを指すわけではありません。事業の多様さが特徴であり、事業同士を一緒に持つ利点があるか、管理が複雑にならないかを考えます。

出典

RIETI「日本企業の持続的な成長を目指した事業ポートフォリオ変革」 ↗
コングロマリット経営の課題

コングロマリット型M&A

こんぐろまりっとがたえむあんどえー

現在の主な事業とは関連の薄い、異なる業種の会社や事業を買うM&Aです。新しい分野への進出や、特定の市場への依存を減らす目的などで行われます。

使用例

機械メーカーが食品会社を買収し、コングロマリット型M&Aで事業を広げる。

間違えやすい点同業の会社を買うM&Aや、仕入先・販売先を買うM&Aとは狙いが異なります。業種が違うだけでリスクが減るとは限らず、運営に必要な知識や管理体制も確認します。

出典

RIETI「日本企業の持続的な成長を目指した事業ポートフォリオ変革」 ↗
コングロマリット経営の課題

コングロマリットディスカウント

こんぐろまりっとでぃすかうんと

別名・英字:コングロマリット・ディスカウント

複数の事業をまとめて持つ企業が、それぞれを別々に評価した合計よりも低く評価されることです。事業の中身が見えにくいことや、人・資金の配分への不安などが理由になります。

使用例

各事業の価値とグループ全体の価値を比べ、コングロマリットディスカウントを検討する。

間違えやすい点多角化すれば必ず起こる現象ではありません。事業を一緒に持つことで高く評価される場合もあり、安く評価される理由を会社ごとに確かめます。

出典

RIETI「日本企業の持続的な成長を目指した事業ポートフォリオ変革」 ↗
コングロマリット経営の課題

コントロールプレミアム

こんとろーるぷれみあむ

会社の経営方針を左右できる立場を得ることに対して、株式の評価に上乗せして考える価値です。少数の株だけを持つ場合との違いに着目します。

使用例

会社の経営を主導できる株式を取得する際、コントロールプレミアムを検討する。

間違えやすい点一律に決まる上乗せ率はありません。市場株価と買収価格の差には、買収後の相乗効果なども含まれ得るため、すべてを経営支配の価値とはいえません。

出典

経済産業省「企業買収における行動指針」 ↗
2.2 企業価値の向上と株主利益の確保・プレミアム

コンプライアンス

こんぷらいあんす

会社やそこで働く人が、法律や社内ルールなどを守り、社会から信頼される行動を取ることです。M&Aでは、過去の違反の有無だけでなく、問題を防ぎ発見する仕組みも確認します。

使用例

買収先のコンプライアンス体制として、通報窓口や社員教育を調べる。

間違えやすい点単に「違法でなければよい」という考え方ではありません。約束、倫理、取引先や従業員への影響も含めて行動を考える点が大切です。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版 ↗
第1章・M&Aの手続と最終契約

逆さ合併

さかさがっぺい / さ行の関連語

親会社を子会社に吸収させる場合など、一般的なイメージとは逆に、子会社側や規模の小さい会社側を残す合併の呼び名です。どちらの会社名や事業を引き継ぐかだけでなく、法律上どの会社が残るかに注目して読みます。

使用例

子会社の法人を残す必要があるため、親会社を消滅させる逆さ合併を検討する。

間違えやすい点逆さ合併は実務上の呼び名で、会社法に独立した手続があるわけではありません。また、会計上「どちらが買い手か」を判定する逆取得と、必ず同じ意味になるわけではありません。

出典

会社法 ↗
第2条第27号/第749条(吸収合併)

国税不服審判所「平成13年1月22日裁決」 ↗
逆さ合併という呼称の使用例。旧制度下の裁決であり現行税務判断には流用しない

資料確認:2026年11月1日 / 試験の法令・制度基準日:2026年3月31日
用語は学習用に要約しています。税務・法務の具体的な判断は、適用時点の法令・契約・個別条件を確認してください。

収録範囲と編集方法

日本M&Aセンターの12カテゴリの用語索引、M&Aキャピタルパートナーズの「解説記事&用語集」、ストライクのカ行索引、かえでファイナンシャルアドバイザリーのか行索引を照合しました。同じ意味の表記はまとめ、旧称や誤表記はその旨を区別しています。説明文と使用例は独自に作成し、根拠資料を各項目に示しています。すべての競合サイトや、試験の全論点を網羅したという意味ではありません。

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