M&A用語集【た行】意味・使用例・似た用語の違い

M&A用語集|た行

2027年1月・中小企業M&A実務能力・倫理検定試験の学習に

88語。意味・使用例・間違えやすい点をまとめています。

ターゲット

たーげっと

M&Aで、買収や提携の対象として検討している会社や事業のことです。買い手は、欲しい技術、顧客、地域、事業の規模などをもとに候補を選び、自社の目的に合うかを確かめて絞り込みます。

使用例

必要な技術を持つ会社をターゲットとして選び、売却や提携の意向を確認する。

間違えやすい点売却が決まった会社だけを指す言葉ではなく、まだ接触していない候補も含めて使われます。一般の営業でいう販売対象の顧客とは文脈が異なり、誰の何の対象かを確かめます。

出典

山田コンサルティンググループ「買収・資本業務提携」 ↗
買収ターゲット企業の探索、買収候補先の選定、ターゲットへの打診

ターミナルバリュー

たーみなるばりゅー

別名・英字:TV/残存価値

細かな事業計画を作った期間の後も事業が続く場合に、その後の価値をまとめて見積もったものです。継続価値や残存価値とも呼びます。DCF法では、計画期間の収支だけで事業の価値を終わらせず、その先の稼ぐ力も評価するために使います。

使用例

計画期間の先の成長見込みを確認し、ターミナルバリューを見積もります。

間違えやすい点将来必ず受け取れる売却代金ではありません。計画終了時点などの価値として求めた後、評価する現在の時点に換算します。成長率などの前提で大きく変わることがあるため、計画期間の収支との重複にも注意します。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「DCF法」 ↗
計画期間以降の継続価値(ターミナルバリュー)

タームシート

たーむしーと

正式な契約書を作る前に、取引の主な条件を項目ごとに整理した書面です。M&Aでは、何を買うか、価格、支払方法、予定する時期などを書き、双方の考えが合う点と、まだ決まっていない点を確認します。

使用例

タームシートに売買価格と未決事項を整理し、最終契約の交渉に備える。

間違えやすい点名称だけで法的に守る義務があるかは決まりません。主要条件を拘束しない扱いでも、秘密保持や独占交渉は義務を持たせる場合があり、各項目の文言と合意内容を確かめます。

出典

経済産業省「スタートアップ投資契約ガイドライン(2022年版)」 ↗
別紙1 タームシート例・投資条件の主な項目の整理

弁護士法人M&A総合法律事務所「M&Aにおけるタームシート」 ↗
主要条件、最終契約交渉、秘密保持義務等の法的拘束力

第三者承継

だいさんしゃしょうけい

経営者の親族や社内の役員・従業員ではなく、社外の人や会社へ事業を引き継ぐことです。M&Aによる株や事業の売買が代表的で、後継者がいない場合にも、会社の仕事や顧客との関係を次の担い手へつなげます。

使用例

第三者承継を考える際に、従業員の雇用と取引を継続できる相手を探す。

間違えやすい点親族内承継や役員・従業員承継とは、引き継ぐ相手の立場が違います。手法は株式譲渡、事業譲渡などさまざまで、第三者へ承継したから必ず会社を解散するという意味ではありません。

出典

中小企業庁「事業承継ガイドラインにおける事業承継の類型・構成要素について」 ↗
事業承継の類型・社外の第三者への引継ぎを第三者承継として整理

東京都中小企業振興公社「事業承継 用語解説」 ↗
親族内承継、役員・従業員承継、第三者承継の区分

第三者割当増資

だいさんしゃわりあてぞうし

会社が提携先や投資家など特定の相手を選び、新しい株を引き受けてもらって資金を集める方法です。払われたお金は会社に入り、成長のための投資や、出資を伴う提携などに使います。株を持つ人の構成も変わることがあります。

新株を発行する会社に払込みが入る。既存株主が自分の株を売る株式譲渡とは、お金の受取人が異なる。
新株を発行する会社に払込みが入る。既存株主が自分の株を売る株式譲渡とは、お金の受取人が異なる。
使用例

提携先への第三者割当増資で資金を調達し、共同開発を進める。

間違えやすい点すでに株を持つ人が売る株式譲渡では、通常、売買代金はその株主に入ります。新株を増やす場合は、既存株主が持つ割合が薄まり得るため、発行数と価格などの確認も必要です。

出典

日本取引所グループ「第三者割当増資」 ↗
特定の第三者からの資金調達、新株式発行と自己株式割当ての説明

日本取引所グループ「有償増資」 ↗
払込みを受け新株を発行する増資の区分

貸借対照表

たいしゃくたいしょうひょう

決算日など、ある時点で会社が持つ資産と、その元手である負債・純資産を示す決算書です。BS(ビー・エス)とも呼びます。現預金、売掛金、設備、借入金などを確認し、M&Aでは会社の財産と支払負担の全体像をつかむために読みます。

使用例

貸借対照表を読み、買収対象の資産と負債を整理します。

間違えやすい点一定期間の利益を示す損益計算書とは異なり、特定時点の状態を示します。また、資産の帳簿額がそのまま売却価格になるとは限りません。回収できない売掛金や、決算書に十分表れていない義務なども調べます。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「財務諸表」 ↗
貸借対照表の定義、資金の調達源泉と運用形態

日本政策金融公庫「経営改善計画書策定の手引」 ↗
資産超過及び実質的な債務超過:不良資産等の確認

退職給付引当金

たいしょくきゅうふひきあてきん

従業員の退職金や年金について、これまでの勤務に対応する将来の負担などを、会社単体の決算で負債として表したものです。外部に積み立てた年金資産なども考慮して計算します。M&Aでは、引き継ぐ退職金の制度や資金負担を確認するときに重要です。

使用例

退職給付引当金の計算方法と、退職金規程の内容を確認します。

間違えやすい点引当金と同額の現金が、別に確保されているという意味ではありません。連結決算では「退職給付に係る負債」などの名称を使い、会社単体の決算とは差額の処理も異なります。実際の支払予定と合わせて確認します。

出典

企業会計基準委員会「企業会計基準第26号 退職給付に関する会計基準」 ↗
第6・13・27・39項及び第74項:退職給付債務・年金資産・個別財務諸表と連結財務諸表の取扱い

退職金

たいしょくきん

退職に際して、勤務先などから支給されるお金です。会社の退職金規程などに基づき、勤続年数や退職理由などを踏まえて金額を決めます。M&Aでは、従業員の制度を引き継ぐ場合や、経営者が退任する場合に、支給条件や会社の資金負担を確認します。

使用例

買収後も引き継ぐ退職金制度と、将来の支払負担を確認します。

間違えやすい点すべての会社に退職金制度の設置が義務付けられているわけではありません。ただし、就業規則や契約などで支給を約束している場合は、その内容を確認します。株式の売却代金や、会計上の退職給付引当金とも別です。

出典

厚生労働省・茨城労働局「退職金はないと言われたのですが」 ↗
退職金制度の設置と就業規則・慣行に基づく支払

雇用労働相談センター「労働関係法令の解説(令和7年10月版)」 ↗
掲載p.103「Ⅹ 退職金制度」:定義と退職金規程に基づく支給

退職所得

たいしょくしょとく

退職金など、仕事を辞めたことにより一度に受け取るお金について計算する所得の区分です。M&Aで売り手経営者に退職金を支払う場合にも関係します。受取額から勤続年数等に応じた控除や所定の調整を反映し、課税対象となる金額を計算します。

使用例

売却後に退任する社長への退職金について、勤続年数と支払条件を確認し、退職所得の計算を依頼する。

間違えやすい点受け取った退職金全額が、そのまま課税所得になるわけではありません。ただし、通常の計算上の軽減には、短い勤続期間の役員退職金などの例外があります。「退職金」という名目だけで扱いを決められません。

出典

国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 ↗
退職所得の金額の計算・退職所得控除、特定役員退職手当等と短期退職手当等の例外。税率や金額等の改正後数値は本文に不使用

所得税法(2026年1月1日時点版) ↗
第30条:退職所得の定義・退職所得控除後の計算・例外

退職所得税

たいしょくしょとくぜい

退職金などの退職所得にかかる所得税を指す呼び方です。退職所得は原則として通常の給与とは分けて税額を計算し、勤続年数などに応じた控除があります。M&Aに伴って経営者が退任する場合、退職金を受け取る人の手取りを確認する場面で登場します。

使用例

役員退職金を受け取る場合の退職所得税などを確認し、手取り額を見積もります。

間違えやすい点「退職所得税」という独立した税目があるわけではありません。住民税や復興特別所得税も区別して確認します。役員か従業員か、勤続期間や他の退職金の受給などで扱いが変わるため、一律の率では計算できません。

出典

国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 ↗
退職所得の概要・控除・所得税の分離計算(一般概念)

国税庁「暮らしの税情報:退職金と税」 ↗
所得税等と住民税、退職所得の源泉徴収・特別徴収の区別

対等合併

たいとうがっぺい

当事者同士が対等な立場を尊重して一つの会社になる、という方針を表す呼び方です。経営陣の構成や社名などで双方へ配慮する例がありますが、法律上の独立した合併手法を指す言葉ではありません。

使用例

対等合併の方針について、合併の方式と統合後の経営体制を具体的に確認する。

間違えやすい点全社を解散して新会社を作る新設合併と同じ意味ではなく、一社を残す吸収合併でも使われます。株の交換割合や役員数が必ず同じになる意味でもないため、実際の条件を見ます。

出典

ノバレーゼ・エスクリ「合併契約締結に関するお知らせ」 ↗
2025年11月14日・p.1「対等の精神」と吸収合併、p.5 合併方式と割当比率

e-Gov「会社法」 ↗
第2条第27号・第28号:吸収合併と新設合併。定義の骨格のみ参照

第二会社方式

だいにがいしゃほうしき

経営難の会社から、続けられる事業を会社分割や事業譲渡で別会社へ移し、その事業の再建を目指す方法です。元の会社では残った債務などを整理します。事業の受け皿となる第二会社を使い、雇用や取引をできるだけ残すために検討します。

続けられる事業を別会社へ引き継ぎ、元の会社に残る財産・債務等を必要な手続で整理する基本形。
続けられる事業を別会社へ引き継ぎ、元の会社に残る財産・債務等を必要な手続で整理する基本形。
使用例

継続可能な店舗事業をスポンサー側の会社へ移す第二会社方式について、債権者と再生計画を協議する。

間違えやすい点良い事業だけを移せば、借金や責任を自由に消せる仕組みではありません。適正な譲渡価格や債権者への説明、必要な合意・法的手続などが問題になります。単に子会社をつくることとも異なります。

出典

金融庁「中小企業の事業再生等に関するガイドライン事例集」(2023年10月17日) ↗
Case2:第二会社方式による事業再生支援、事業譲渡後の旧会社清算・債権者の経済合理性

経済産業省「中小M&Aガイドライン 第2版」参考資料 ↗
事業再生局面での第二会社方式・適正対価による事業譲渡等の必要性。制度の基本構造の確認に利用

代表訴訟

だいひょうそしょう

ここでは株主代表訴訟を指します。取締役などが会社に損害を与えたのに、会社が責任を追及しない場合などに、所定の条件を満たす株主が会社のために責任を追及する訴訟です。会社の損害を回復する仕組みとして使われます。

使用例

買収の判断をめぐる代表訴訟の資料を読み、誰に対する、どの損害の請求かを確認する。

間違えやすい点大勢の株主が集団で訴えることが必須の制度ではありません。株主本人の損失を自分のために請求する訴訟とも違います。会社への提訴請求などの手続や、原告となれる条件は別途確認します。

出典

東京地方裁判所「民事第8部(商事部)」 ↗
訴訟事件「ウ 株主代表訴訟について」

e-Gov法令検索「会社法」 ↗
847条:責任追及等の訴え

代表取締役

だいひょうとりしまりやく

株式会社の取締役のうち、会社を代表する権限を持つ人です。会社名義で契約を結ぶなど、対外的な行為を行います。M&Aでは、会社の契約に誰が署名できるかや、その人をどう選ぶかを確認する際に関わります。

使用例

事業譲渡契約の締結前に、代表取締役の氏名と会社で必要な承認を確認する。

間違えやすい点「社長」は社内の役職名で、必ず代表取締役と一致するわけではありません。また、会社を代表する権限があっても、重要な取引では株主総会などによる社内の承認が別に必要な場合があります。

出典

e-Gov「会社法」 ↗
第349条:株式会社の代表。代表権の基本的な範囲のみ参照

日本公証人連合会「代表取締役及び役付取締役に関する定めの留意点」 ↗
会社法上の代表取締役と、社長・会長等の役付取締役の区別

ダイベストメント

だいべすとめんと

保有する事業や子会社、投資先の株式などを売却・整理し、そこから資金や経営資源を引き揚げることです。M&Aでは事業売却を指すことが多く、重点事業へ人や資金を振り向けたり、事業の組合せを見直したりするために行います。

使用例

主力事業へ資金を集中するため、子会社の売却をダイベストメントの一環として検討する。

間違えやすい点赤字事業の処分だけを意味する言葉ではありません。黒字でも自社の方針に合わなければ売却を検討します。事業を切り出すカーブアウトは、ダイベストメントを進める際に使う方法の一つです。

出典

デロイト トーマツ「ダイベストメントに関する2026年グローバル調査レポートを公表」(2026年3月12日) ↗
ダイベストメントの定義、事業売却による資本再配分・事業ポートフォリオ再構築

経済産業省「エネルギー白書2024」 ↗
石炭関連事業からのダイベストメント:投融資の撤退という使用例

ダイリューション

だいりゅーしょん

新しい株式が発行されるなどして、既存株主の持株割合や1株当たり利益などが低下することです。希薄化ともいいます。M&Aでは、株式を発行して買収資金を集めたり、買収の代金として株式を渡したりするとき、既存株主への影響を確認します。

使用例

新株発行によるダイリューションが、既存株主にどれほど影響するか確認します。

間違えやすい点株数が増えれば株価も必ず同じ割合で下がる、という意味ではありません。調達資金で利益が増える効果などもあります。持株割合、議決権、1株利益のどの薄まりを見ているかを分け、潜在的に増える株式も確認します。

出典

東京証券取引所「ガイドブック 第三者割当に係る上場制度の概要及び実務上の留意事項」 ↗
既存株主の権利・議決権数に基づく希薄化率

企業会計基準委員会「企業会計基準第2号 1株当たり当期純利益に関する会計基準」 ↗
第20〜26項:潜在株式による1株利益の希薄化

大量保有報告書

たいりょうほゆうほうこくしょ

別名・英字:大量保有報告

上場会社の株式などを所定の割合を超えて保有した人が、保有割合や保有目的などを報告する書類です。誰が、どのくらい、どのような目的で株式を持っているかを市場に知らせ、投資家が判断するための情報を提供します。

使用例

買い手候補が提出した大量保有報告書で、保有割合と保有目的を確認する。

間違えやすい点株式を買い集める際の公開買付けの手続とは別です。また、自分名義の株数だけで単純に判定できるとは限らず、共同で保有する人の関係や対象となる権利も確認します。提出後に変更報告が必要になる場合もあります。

出典

金融庁「大量保有報告書等の提出について」 ↗
大量保有報告制度の目的・報告事項。基準日後の改正による対象者の拡張等は本文に不使用

多角化戦略

たかくかせんりゃく

今の主力事業だけに頼らず、新しい商品や事業分野にも進んで成長を目指す考え方です。M&Aで他社の事業を取り込む方法もあります。アンゾフの成長マトリクスでは、新しい商品を新しい市場へ出す戦略を指します。

使用例

多角化戦略の一環として、新しい顧客層に商品を届けられる事業の買収を検討する。

間違えやすい点今の商品を別の地域で売る市場開拓や、既存事業の単なる規模拡大とは分けて考えます。新事業との共通点がどれほどあるかによって、活用できる技術や販売先、必要な準備は変わります。

出典

中小機構 J-Net21「アンゾフの成長マトリックス」 ↗
新規製品×新規市場の多角化戦略と多角化の類型

中小企業庁 ミラサポplus「アンゾフの成長マトリクス」 ↗
4つの成長戦略、多角化戦略

タグアロング

たぐあろんぐ

ある株主が自分の株を他の人へ売る際に、別の株主が「自分の株も一緒に売りたい」と求められる契約上の権利です。同伴売却権などと呼ばれ、株を少し持つ人にも、同じ買い手へ売る機会を確保するために定めます。

使用例

大株主による株式売却の通知を受け、タグアロングの対象と申出期限を確認する。

間違えやすい点他の株主にも売却を求めるドラッグアロングに対し、タグアロングは自分が売却へ参加する権利です。売れる株数や適用条件は契約によるため、常に持ち株を全部売れるとは限りません。

出典

日本公認会計士協会「種類株式の評価事例」 ↗
2013年11月6日・Ⅱ2(3) 株主間契約等、本文p.8 ドラッグ・アロング・ライト、共同売却権

レコフデータ MARR「タグアロング」 ↗
2018年4月1日更新・株式の売却参加権、共同売却請求権という用法

立会い

たちあい

ここでは、会社が行う在庫の確認などの作業に調査者が同席し、作業の進め方や結果を確かめる手続を指します。例えば棚卸立会では、会社が在庫を数える様子を観察し、一部を自分でも数えて、帳簿と現物が合っているかを確認します。

使用例

倉庫での棚卸に立会い、在庫を数える手順を観察したうえで、一部の数量を自分でも確かめる。

間違えやすい点現場にいるだけではなく、目的に沿った観察や確認を行います。自分で現物を直接確かめる実査と関係しますが、会社側の作業を観察する点が中心です。立会いだけで全在庫の価値や権利関係まで分かるわけではありません。

出典

日本公認会計士協会「会計・監査用語かんたん解説集:棚卸立会」 ↗
会社による実地棚卸への同席・観察と一部のテストカウント

タックスシールド

たっくすしーるど

利息や減価償却費などが税金計算上の費用として認められることで、税負担が小さくなる効果です。たとえば借入金の利息による節税効果が知られています。M&Aでは、買収資金の調達方法や、税金を考慮した将来の収支を検討するときに使います。

使用例

借入金利息のタックスシールドを検討し、税引後の資金負担を比べます。

間違えやすい点支払った費用が、そのまま同額の税金として戻るわけではありません。税金計算上の利益や、費用として認められる範囲などに左右されます。節税効果だけで借入れを増やさず、利息や返済の負担も合わせて見ます。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「トレードオフ理論」 ↗
負債の節税効果と財務的困難に伴うコスト

Aswath Damodaran(NYU Stern)「Damodaran on Valuation」 ↗
負債利払いによる税効果、tax shieldの現在価値(一般理論)

担保掛目

たんぽかけめ

担保にする資産の時価などに掛けて、融資上どれほどの価値として扱うかを決める割合です。将来の値下がりなどを見込み、元の価格をそのまま担保価値にしないために使います。借入れを検討する際、資産の評価額と融資の裏付けになる額の差を確認します。

使用例

担保にする資産の評価額だけでなく、担保掛目を反映した金額を確認します。

間違えやすい点借入金の利率や、必ず借りられる金額の割合ではありません。対象資産の種類、価格の変わりやすさ、金融機関の基準などで異なります。何の金額に掛ける割合かを確かめ、融資の審査とも分けて考えます。

出典

日本銀行「日本銀行が運営する資金決済システムに関する情報開示(2025年7月31日)」 ↗
原則5「担保」:時価等・種類・残存期間に応じた掛目と担保価額

日本銀行「統計の注釈」 ↗
担保価額:時価・額面・元本額等に掛目を適用する説明

地位承継

ちいしょうけい

ここでは、契約の当事者としての立場を別の人や会社へ引き継ぐことを指します。例えば事業譲渡で、店舗を借りる会社が変わる場合に、借りて使う権利と家賃を払う義務などを、契約とともに移すことです。

使用例

店舗の事業譲渡に合わせ、賃貸借契約の地位承継について貸主の承諾を得る。

間違えやすい点代金を請求する権利だけを移す債権譲渡とは異なります。当事者の合意による契約上の地位の移転では、契約の相手方の承諾が必要であり、事業を買っただけで全契約が当然に移るわけではありません。

出典

法務省「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」 ↗
16 契約上の地位の移転・民法第539条の2

e-Gov「民法」 ↗
第539条の2 契約上の地位の移転

チェンジ・オブ・コントロール条項

ちぇんじおぶこんとろーるじょうこう

別名・英字:COC条項/チェンジオブコントロール条項/チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項

契約している会社の支配者が変わったときに、取引先への通知や事前承諾、契約解除などをどう扱うかを決める条項です。COC条項とも呼びます。M&Aで株主などが変わると、賃貸借契約や取引基本契約などの継続に影響する場合があります。

使用例

買収先の重要な契約を確認し、チェンジ・オブ・コントロール条項に基づく通知や承諾が必要か調べる。

間違えやすい点株主が変わるすべての取引で、必ず契約が解除されるわけではありません。何を支配者の変更とみなすか、通知だけでよいか、承諾が必要かなどは条文次第です。社長交代と同じ意味とも限りません。

出典

中小企業庁「中小PMIガイドライン」 ↗
116頁:契約関係を含む外部関係者との関係の適正性、COC条項への対応

チャイニーズ・ウォール

ちゃいにーずうぉーる

同じ会社の中でも、秘密の会社情報などを扱う部署と別の部署の間で、情報を勝手に共有しないための仕切りです。部署を分けたり、資料を見られる人を限定したりして、未公表情報を使った不公正な取引などを防ぎます。

使用例

M&A担当が知った未公表情報を売買担当へ渡さないよう、チャイニーズ・ウォールを設ける。

間違えやすい点実際の壁を作ることだけではありません。組織、入退室、資料、システムの閲覧権限などを管理し、運用を守ることも含みます。設けただけで利益相反やインサイダー取引の問題がすべてなくなるわけではありません。

出典

日本証券業協会「チャイニーズウォール」 ↗
非公開情報を扱う部門と営業部門との情報の壁・管理体制

日本証券業協会「ファイアーウォール規制の見直しに伴う『協会員における法人関係情報の管理態勢の整備に関する規則』に関する考え方の一部改正について(案)」(2022年4月19日) ↗
8頁(PDF8頁、資料内表示8)・法人関係情報の管理:組織上・物理上・システム上の障壁。個別の改正条件ではなく情報管理の基本概念を参照

着手金

ちゃくしゅきん

M&Aの仲介や助言などの支援を始める段階で、依頼者が支援会社へ支払う報酬です。契約締結時や調査・資料作成の開始時など、発生する時点は契約によって異なります。料金体系によっては、着手金を設けていない会社もあります。

使用例

仲介契約を結ぶ前に、着手金の発生時期と、成約しなかった場合の取扱いを確認する。

間違えやすい点成功報酬とは発生する時点が異なり、その一部として前払いする扱いもあります。後で成功報酬から差し引くか、交渉が途中で終わった場合に返るかは、依頼契約の内容を確認します。

出典

M&A支援機関登録制度「よくあるご質問」 ↗
着手金:FA契約や仲介契約等の締結時の報酬額、手数料の発生タイミング

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
第1章 手数料の種類・仲介契約/FA契約の締結前の説明

仲介

ちゅうかい

M&Aで売り手と買い手の間に入り、候補探し、情報のやり取り、条件の調整などを支援することです。中小M&Aの仲介者は、通常、売り手・買い手の双方と契約し、取引を進めるため両方へ助言します。

使用例

仲介を依頼する前に、売り手・買い手それぞれへの支援範囲と手数料を確認する。

間違えやすい点一方だけと契約してその依頼者へ助言するFAとは立場が異なります。双方の価格などの希望がぶつかるため、一方の利益だけを追う立場ではないことと、利益相反への対応を確かめます。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章・仲介者とFAの比較、第2章・利益相反の留意事項

経済産業省 2024年度委託調査(M&A支援業務の整理) ↗
中小M&Aガイドライン第3版より、仲介者・FAの比較

中間報酬

ちゅうかんほうしゅう

M&Aの支援を頼んだ会社などに、案件が完了する前の節目で支払う報酬です。中間金とも呼ばれ、基本合意を結んだ時など、契約で決めた時点や成果に応じて発生します。請求しない支援会社もあります。

使用例

基本合意を結ぶ前に、中間報酬の金額と、支払う条件を確認する。

間違えやすい点成立時などに払う成功報酬と、発生する時期が異なります。成功報酬から差し引く扱いか、取引が途中で終わった場合に返るかは、名称で判断せず依頼契約の内容を確かめます。

出典

M&A支援機関登録制度「手数料の簡易計算」 ↗
中間金(マイルストーンフィー)・基本合意時等の発生、成功報酬の内金となる場合

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章Ⅴ1(3) 中間金

中間法人

ちゅうかんほうじん

構成員に利益を分配することを目的としない団体に法人格を認めていた、旧制度の法人です。公益を主な目的としない団体も対象としたため、この名前が使われました。中間法人法は2008年に廃止され、一般社団法人への移行が定められました。

使用例

古い資金調達の資料に出てくる中間法人を、現在の法人制度と区別して調べる。

間違えやすい点現在、新しく設立できる法人の種類として覚えないようにします。また、構成員へ利益を分配しないことと、事業で収入を得ないことや、税金が一切かからないことは同じではありません。

出典

法務省「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の施行に伴う中間法人法の廃止について」 ↗
1 中間法人法の廃止、2・3 一般社団法人への移行

法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」 ↗
制度概要:剰余金分配を目的としない法人

中小M&Aガイドライン

ちゅうしょうえむあんどえーがいどらいん

中小企業庁がまとめた、中小企業の会社や事業を第三者へ円滑に引き継ぐための手引です。売り手・買い手が進め方を知るための説明と、仲介会社などが支援する際の契約、手数料、情報管理などの留意点を示します。

使用例

仲介会社との契約前に、中小M&Aガイドラインで手数料と説明事項を確認する。

間違えやすい点法律そのものではなく、M&A実務での望ましい対応などを示した指針です。法律上の義務や個別契約の内容とは分けて読み、試験では指定された基準日時点の版を確認します。

出典

経済産業省「中小M&Aガイドラインを改訂しました」 ↗
2024年8月30日・第3版の趣旨、中小企業向けガイダンスと仲介者・FA向け留意事項

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章・第2章の構成とガイドラインの位置付け

中小企業

ちゅうしょうきぎょう

事業の規模が一定の範囲にある会社や個人事業者を指す言葉です。中小企業基本法では、業種ごとに、資本金などの金額、または常時使う従業員数の基準を定め、原則としてどちらかの基準を満たすものを対象にします。

使用例

補助制度の対象になるかを調べるため、業種と資本金・従業員数を確認する。

間違えやすい点非上場の会社や売上の小さい会社すべてを意味するわけではありません。基本法の範囲が共通の目安になりますが、税制や補助制度では別の条件を使う場合があるため、その制度の定義を読みます。

出典

中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」 ↗
中小企業基本法の業種別基準

中小企業庁「中小企業の定義に関するよくある質問」 ↗
資本金基準又は従業員基準、制度による対象範囲の相違

中小企業金融円滑化法

ちゅうしょうきぎょうきんゆうえんかつかほう

返済が難しくなった中小企業などから相談を受けた金融機関に、返済期限の延長などへできる限り応じる努力を求めた時限の法律です。資金繰りを支えるために設けられましたが、2013年3月末に期限を迎えています。古い資料を読む際に登場する名称です。

使用例

過去の再生事例で中小企業金融円滑化法に基づく返済条件の変更が出てきたため、当時の制度として整理する。

間違えやすい点借金を自動的になくしたり、すべての返済猶予を義務付けたりした法律ではありません。法律の期限後も金融機関への返済相談や事業支援は続いており、当時の時限法と現在の対応を分けて理解します。

出典

金融庁「中小企業等に対する金融円滑化対策について」 ↗
冒頭注記:2009年12月4日施行・2013年3月末の期限到来、期限後も貸付条件の変更等に努める旨

中小企業再生支援協議会

ちゅうしょうきぎょうさいせいしえんきょうぎかい

借入れなどの財務上の問題を抱える中小企業の再生を支援した、公的な相談窓口の旧名称です。再生計画づくりや金融機関との調整などを支援していました。2022年4月に経営改善支援センターと統合され、中小企業活性化協議会となりました。

使用例

古い再生計画に記載された中小企業再生支援協議会について、現在の中小企業活性化協議会との関係を確認する。

間違えやすい点現在の相談先を調べるときは、中小企業活性化協議会の案内を確認します。協議会は裁判所ではなく、相談しただけで借金が減るわけではありません。事業者や金融機関、専門家による検討・調整を支援する機関です。

出典

中小企業庁「中小企業活性化協議会の活動状況について」 ↗
注記:旧協議会の設置目的、2022年4月1日の経営改善支援センターとの統合

中小企業庁「中小企業活性化協議会」 ↗
中小企業活性化協議会とは:前身と統合・現在の支援体制

超過収益

ちょうかしゅうえき

会社や資産が生む利益のうち、通常期待される水準を上回る部分です。M&Aの価値評価では、保有する資産などから通常得られる利益と比べ、技術、ブランド、顧客との関係などによって、どれだけ上乗せして稼げるかを考える際に使います。

使用例

会社の利益から通常期待される利益を差し引き、超過収益が継続する見込みを検討する。

間違えやすい点利益全額や、前年より増えた利益をそのまま超過収益と呼ぶわけではありません。何を基準として超えたかが要点です。一時的な好調だけで将来も続くとは限らず、価値評価では持続性やリスクも確認します。

出典

帝国データバンク「第10回:無形資産の評価方法」(2008年10月15日) ↗
インカムアプローチ・超過収益法:実際収益と期待収益の差額

デロイト トーマツ「財務諸表からは見えない価値の可視化―人的資本の評価」 ↗
超過収益法:全体利益から他の資産が寄与する部分を控除する考え方

超過収益力

ちょうかしゅうえきりょく

通常期待される水準を上回る利益を生み出す力です。知名度、顧客との関係、技術や組織などが、その源泉になる場合があります。M&Aでは、目に見える資産だけでは説明しきれない強みや、のれんを評価する背景として検討します。

使用例

高い利益率を支える顧客基盤が、超過収益力につながっているか確認します。

間違えやすい点「超過収益」は上回った利益の金額、「超過収益力」はそれを生む力を表します。一時的な好業績がそのまま持続的な力とは限りません。また、会計上ののれんは取得額と配分額の差額なので、両者を単純に同じ金額とは考えません。

出典

企業会計基準委員会「企業会計基準第21号 企業結合に関する会計基準」 ↗
第31項:のれんの算定、第105・106項:超過収益力と競争の進展

一橋大学大学院経営管理研究科「のれん」 ↗
取得原価と資産・負債への配分額の差額及び超過収益力

調整後EBITDA

ちょうせいごいーびっとだー

別名・英字:Adjusted EBITDA

利息・税金・減価償却費(設備などの取得費を使用期間に分けた費用)を引く前の利益がEBITDAです。この利益から一時的な損益などを調整した指標を、調整後EBITDAといいます。普段の稼ぐ力を比較し、M&Aの価格を検討するときなどに使います。

使用例

調整後EBITDAを見るときは、どの損益をいくら調整したか確認します。

間違えやすい点会計基準で統一された利益ではなく、会社ごとに調整内容が違うことがあります。毎年必要な費用まで除いていないか、足し戻しと除外の両方を確認します。現金残高や、設備投資後に手元へ残るお金とも別です。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「EBITDA」 ↗
Adjusted EBITDA:一時的損益、非継続事業・事業外の損益の調整及び定義差

D/Eレシオ

でぃーいーれしお

別名・英字:DEレシオ/負債資本比率

株主側の元手に比べ、借入金などがどのくらいあるかを見る比率です。デット・エクイティ・レシオといい、一般に「有利子負債÷自己資本」で計算します。M&Aでは、買収資金を借りた後に借入れへ依存しすぎないか、財務のバランスを確認します。

使用例

買収後のD/Eレシオを計算し、返済負担と自己資本のバランスを確認します。

間違えやすい点負債の範囲や自己資本の定義を、資料間でそろえる必要があります。現預金を差し引くネットD/Eレシオとも区別します。自己資本がゼロやマイナスの場合には通常の比べ方が難しく、この比率だけで安全性は決まりません。

出典

岡東務「債券格付手法の研究―東京ガス株式会社の事例を参考に―」(城西国際大学掲載) ↗
掲載p.58:D/E=有利子負債÷自己資本、p.59:ネットD/Eの対象

箕輪徳二「社債権者保護のための債券格付制度と社債管理者制度」(日本大学経済学部産業経営研究所掲載) ↗
掲載p.160「格付決定に関連する主な考慮要素・財務指標・財務制限条項」:D/Eレシオ=有利子負債/株主資本

TSA

てぃーえすえー

会社や事業を切り離した後、独立した運営へ移るまで、売り手側などが必要な業務を一時的に提供する契約です。移行支援契約などと訳され、給与計算や会計システムなどについて、支援の内容、期間、料金を定めます。

使用例

TSAで給与計算を継続してもらう期間と、自社の仕組みへの切替日を取り決める。

間違えやすい点会社や事業を売買する契約とは役割が異なり、引継ぎ後に業務を止めないための約束です。恒久的な業務委託とは区別し、支援を終える条件や代わりの体制を整える日も確認します。

出典

経済産業省「第4回事業再編研究会 事務局説明資料」 ↗
2020年3月17日・事業再編を行う際の取組・工夫、売却後のTSAによる支援

弁護士法人M&A総合法律事務所「M&Aにおける移行サービス契約」 ↗
移行期間中のサービス契約、最終譲渡契約等との関係

TOB

てぃーおーびー

別名・英字:TOB(株式公開買付)/テンダー・オファー/公開買付け/株式公開買付け

株を買いたい人が、買う価格、期間、予定数などの条件をあらかじめ公表し、株を持つ人から証券取引所の市場外で買い集める方法です。日本語では公開買付けといい、株主に売却の判断に必要な情報と機会を提供します。

使用例

TOBの開始公告で、買付価格、応募できる期間、買付予定数を確認する。

間違えやすい点取引所の市場で日々株を買う方法とは異なります。対象会社が賛同する場合にも反対する場合にも用いられるため、TOBというだけで敵対的買収と同じ意味にはなりません。

出典

日本取引所グループ「公開買付け(TOB)」 ↗
買付価格・期間等の公告、市場外の買付けという制度の骨格

金融庁「公開買付規制に関する規制の事前評価書」 ↗
制度の目的:取引の透明性・公正性、条件の事前開示と株主の公平な売却機会。閾値等の数値は使用しない

ティーザー

てぃーざー

別名・英字:ノンネームシート/ノンネーム・シート

M&Aの初期に、買い手候補へ関心があるかを尋ねるための短い紹介資料です。日本の中小M&Aでは、売り手が特定されないよう会社名を伏せ、業種、地域、売上の規模や強みをまとめたノンネームシートとして扱われます。

使用例

ティーザーの地域と事業内容を見て、詳しい資料で検討を進めたいかを判断する。

間違えやすい点社名や詳しい情報を載せる企業概要書とは開示の段階が異なります。名前を消しても、珍しい商品や細かな所在地で会社が分かることがあるため、情報の組合せにも気を付けます。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章 中小M&Aの進め方、用語集

日本政策金融公庫「事業を譲り受けたい方」 ↗
2.ノンネームシートの確認〜詳細資料による検討・特定されない範囲の匿名情報

DCF法

でぃーしーえふほう

別名・英字:DCF/ディスカウンテッドキャッシュフロー法/ディスカウンテッド・キャッシュフロー法/ディスカウント・キャッシュフロー法

事業などが将来生むお金の流れを予測し、その金額を今の価値に換算して足し合わせる評価方法です。ディスカウンテッド・キャッシュフロー法の略です。M&Aでは、保有資産だけでなく買収後の収益見通しも価格の検討に反映するときに使います。

使用例

買収後の収支計画を作り、DCF法で事業の価値を見積もります。

間違えやすい点将来の売上や会計上の利益を、そのまま合計する方法ではありません。設備投資や資金回収の時期なども考慮します。予測や換算に使う率で結果が変わり、事業全体の評価と株式の評価では、借入金などの扱いも異なります。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「DCF法」 ↗
将来のキャッシュフロー、割引率、企業価値と株式価値の関係

TPM

てぃーぴーえむ

別名・英字:TOKYO PRO Market/TPM(TOKYO PRO Market:東京プロマーケット)/東京プロマーケット

TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)の略です。東京証券取引所が運営する、プロ投資家などを対象とした株式市場です。J-Adviserと呼ばれる支援機関が上場適格性を調べ、上場後も情報開示などを助言する仕組みを採用しています。

使用例

TPMへの上場を検討し、J-Adviserへ審査・準備事項と上場後の開示体制を相談する。

間違えやすい点通常の一般投資家が市場で直接買い付けられる市場ではありません。また、形式的な数値基準がないことは、審査や開示義務がないという意味ではありません。プライム等の市場とは制度が異なります。

出典

日本取引所グループ「TOKYO PRO Market」 ↗
市場の概要

日本取引所グループ「特定投資家等の概要」 ↗
市場で直接買付けできる投資家の範囲

日本取引所グループ「J-Adviser制度」 ↗
上場前の適格性調査・上場後の開示助言等。基準日後の業者数や追加施策は本文に不使用

日本取引所グループ「上場基準」 ↗
数値基準と上場適格性の調査・確認

ディール

でぃーる

会社や事業の売買などの取引、またはその一件の案件を指す言葉です。M&Aで「このディールを進める」と言えば、その買収などについて、相手との交渉、調査、契約、実行へ向けた作業を進めることを表します。

使用例

担当するディールについて、調査の進み具合と契約までに決める事項を共有する。

間違えやすい点代金の支払いなどを行う実行時点を指すクロージングより広い言葉です。準備段階や買収後の対応まで含める使い方もあり、資料によってどの範囲の取引を指すかを確認します。

出典

日本M&Aセンター「M&Aのディールとは?」 ↗
2022年6月8日・取引とM&Aプロセスを指す用法

山田コンサルティンググループ「買収・資本業務提携」 ↗
サービスの流れ・準備、調査、交渉、契約・クロージング、M&A後

ディール・メーカー

でぃーるめーかー

M&Aの機会を見つけ、相手との交渉や関係者の調整を進め、取引の実現に向けて中心的に動く人や組織を指す呼び名です。仲介会社やアドバイザーだけでなく、買い手企業側の担当者などを指して使うこともあります。

使用例

買い手の担当者がディール・メーカーとして、社内の承認と売り手との条件調整を進める。

間違えやすい点法律で定められた資格や、特定の会社の種類ではありません。呼び名だけで依頼者の代理権や税務・法律業務の資格があるとはいえず、実際の契約上の役割と業務範囲を確かめます。

出典

UNIVIS「ディールメーカー」 ↗
M&A支援を行う専門会社自身の用語説明:取引の仕掛人となるプレーヤー

ディスカウント

でぃすかうんと

価格や評価額を割り引くことです。M&Aでは、株式が売りにくいことなどを考慮し、評価額を下げる調整を指す場合があります。また、将来受け取るお金を今の価値に換算する「割引」の意味でも使います。何をどんな理由で割り引くのかを確認する言葉です。

使用例

評価書のディスカウントが、売りにくさの調整なのか現在価値への換算なのか確認します。

間違えやすい点値引き交渉と、評価上の調整と、将来額を現在価値に直す計算は同じ作業ではありません。一定の率を機械的に引けば正しいわけでもなく、理由と計算方法、他の調整との重複を確認します。

出典

Aswath Damodaran(NYU Stern)「Private Company Valuations」 ↗
Illiquidity Effect:非上場会社の売りにくさの調整と画一的割引への注意

一橋大学大学院経営管理研究科「DCF法」 ↗
将来の資金を現在価値へ換算する割引

ディスクロージャー

でぃすくろーじゃー

会社の事業内容や財務状況、重要な出来事などの情報を開示することです。投資家が判断できるよう情報を公表する場面で使われ、有価証券報告書や適時開示などが例です。M&Aの交渉では、相手に必要な会社情報を示す意味でも使われます。

使用例

買収を検討するため、相手企業のディスクロージャー資料から事業内容と財務状況を確認する。

間違えやすい点適時開示はディスクロージャーの一部です。また、投資家へ一般公開することと、秘密保持契約を結んだ相手に限定して見せることは違います。誰に、どの制度や約束に基づいて開示するかを確認します。

出典

金融庁「ディスクロージャー制度の信頼性確保」 ↗
企業内容等開示制度・有価証券報告書等の開示

日本取引所グループ「適時開示制度の概要等」 ↗
法定開示制度と適時開示制度の併存

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
秘密保持契約・企業概要書・調査における情報開示

DIPファイナンス

でぃっぷふぁいなんす

経営再建中の会社が、仕入れや給与などの支払を続けるために受ける融資です。民事再生など裁判所での手続を申し立てた後、事業を止めず価値を守る場面で使います。再生計画を実行するための設備資金などを供給するものもあります。

使用例

民事再生の申立て後も営業を続けるため、運転資金を確保するDIPファイナンスを検討する。

間違えやすい点補助金や出資とは異なり、返済が必要な借入れです。誰でも受けられるわけではなく、計画や返済可能性などの審査があります。金融商品によっては、裁判外の話合いによる再生も対象になります。

出典

日本政策投資銀行「DIPファイナンス」 ↗
DIPファイナンスとは:申立後の運転資金・再生計画実行のための融資

日本政策金融公庫「事業再生・企業再建支援資金(アーリーDIP・レイターDIP関連)」 ↗
アーリーDIP・アーリーDIP(私的整理)の対象者等。個別制度の例として参照

ティン・パラシュート

てぃんぱらしゅーと

買収に伴って従業員が解雇される場合などに、多額の退職金や一時金が必要になるよう、あらかじめ契約などで定める対抗措置です。買い手の実質的な負担を重くして買収を思いとどまらせる、買収防衛策の一種として説明されます。

使用例

買収防衛策の資料を読み、ティン・パラシュートによる従業員向けの支払条件を確認する。

間違えやすい点主に経営幹部向けの支払いを利用するゴールデン・パラシュートと、対象者を区別します。従業員が買収だけを理由に、法律上当然に高額な退職金を受け取れる制度ではなく、契約内容や適法性の確認が必要です。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「ティン・パラシュート」 ↗
定義・従業員向けの雇用契約等とゴールデン・パラシュートとの相違

定款

ていかん

会社の名前、目的、組織の運営方法など、会社の基本ルールを記したものです。株式会社では、株を他の人に売るときに会社の承認を要するか、誰が承認するかなどが定められている場合もあります。

使用例

株式譲渡の準備として定款を読み、譲渡に会社の承認が必要かを確認する。

間違えやすい点登記事項証明書は登記された会社情報を示す書面で、定款そのものではありません。定款には登記に出ないルールもあるため、M&Aでは両方を確認し、必要な承認や変更を整理します。

出典

法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」 ↗
定款を法人の組織活動の根本規則として説明

法務局「定款の記載例」 ↗
株式会社の定款例・目的、商号、本店、株式の譲渡制限等

法務省「商業・法人登記Q&A」 ↗
登記事項証明書の内容

提携仲介契約

ていけいちゅうかいけいやく

M&Aの相手探しや交渉の調整など、仲介支援を依頼する契約の呼び方です。依頼者が仲介会社との間で、支援の範囲、報酬、契約期間、秘密保持、他社への依頼の制限などを取り決めます。具体的な条件は契約書ごとに異なります。

使用例

提携仲介契約の説明を受け、報酬の計算方法と途中解約後も残る義務を確認してから締結する。

間違えやすい点売り手と買い手の間で会社を売買する最終契約とは別です。また、「提携」という名前でも、会社同士の業務提携を約束する契約とは限りません。誰と契約し、誰のために何をしてもらうかを確認します。

出典

経済産業省公表「2022年度調査報告書」 ↗
M&A仲介事業者の調査・注26:提携仲介契約の意味

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 第3版」 ↗
仲介契約/FA契約の締結・重要な契約事項の説明・専任条項等

低廉譲渡

ていれんじょうと

資産を、時価に比べて著しく低い価格で売ることです。低額譲渡とも呼びます。M&Aや事業承継では、株式や土地などを関係者へ安く移す場面で問題になることがあります。実際に払った代金だけを基に、すべての税額を決められるとは限りません。

使用例

関係者への株式売却が低廉譲渡に当たらないか、時価と税務上の扱いを確認します。

間違えやすい点少し値引きした取引すべてが同じ扱いになるわけではありません。売り手・買い手が個人か法人か、資産の種類や取引事情によって課税の仕方が変わります。どんな場合も同じ割合で判定する、とは考えません。

出典

国税庁「No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき」 ↗
個別事情による判定、個人間取引と対法人譲渡の基準の違い

宮脇義男「相続税法第7条及び第9条の適用範囲に関する一考察」(税務大学校論叢) ↗
掲載pp.267〜269「財産の無償・低額譲渡に係る課税関係」:出し手・受け手の属性ごとの区別

データルーム

でーたるーむ

別名・英字:VDR/仮想データルーム

M&Aの調査で使う決算書、契約書、人事資料などをまとめ、関係者が確認できるようにした場所です。実際の会議室などに資料を置く場合と、閲覧権限を設定したオンラインの場所を使う場合があり、後者はVDRと呼ばれます。

使用例

調査に必要な資料をデータルームへそろえ、担当者ごとに閲覧できる範囲を設定する。

間違えやすい点誰でも見られる公開資料置き場ではありません。秘密保持や閲覧者の管理が必要です。また、資料が入っているだけで内容の正しさが保証されるわけではなく、調査者が不足資料や疑問点を確認します。

出典

経済産業省公表「2024年度調査報告書」 ↗
DD全般・調査実施前の準備「データルームの設置」:物理/VDRの区別、アクセス権限等

テール条項

てーるじょうこう

仲介会社などとの依頼契約が終わった後も、一定の期間内に、その会社が紹介した相手などとM&Aが成立すると報酬が発生するという取り決めです。契約終了後に直接取引して報酬を避けることなどへの対応として設けられます。

使用例

仲介契約を終える前に、テール条項の対象となる相手と期間を確認する。

間違えやすい点独占交渉権は売り手と買い手の交渉相手を絞る約束で、別のものです。国のガイドラインは、テール条項の対象や期間を限定する考え方を示しており、どんな相手との取引も対象とはしません。

出典

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第2章・テール条項に関する留意点

M&A支援機関登録制度「よくあるご質問」 ↗
テール条項の対象・ネームクリアを経て売り手へ紹介された買い手等に限定すべき旨

適格合併

てきかくがっぺい

税法で定めた条件を満たす合併です。移す資産・負債を原則として帳簿の金額で引き継ぎ、資産の値上がり益などへの課税を後へ送る取扱いがあります。合併を行う会社どうしの関係や、事業を続ける見込みなどを確認します。

使用例

合併案が適格合併の条件を満たすかを確認し、資産の引継ぎと税負担を検討する。

間違えやすい点会社法に従って合併できることと、税法で適格となることは別です。また、税金が永久になくなるという意味ではありません。条件は合併の類型ごとに異なり、会社側と株主側の課税も分けて確認します。

出典

財務省「組織再編税制に関する資料」 ↗
組織再編当事法人と株主の課税、適格組織再編での譲渡損益計上の繰延べ。個別要件の数値は本項目で使用しない

法人税法(2026年3月31日時点) ↗
第2条第12号の8(適格合併)、第62条の2(資産等の帳簿価額による引継ぎ)

適格株式移転

てきかくかぶしきいてん

税法で定めた条件を満たす株式移転です。株式移転は、新しい親会社を作り、元の会社の株式をすべて持たせる手続です。適格かどうかは、元の会社が持つ資産を時価で評価して課税するかなど、会社側の税金の扱いに関わります。

使用例

持株会社を新設する計画について、適格株式移転の条件と会社・株主それぞれの課税を確認する。

間違えやすい点株主が自分の株式を売る株式譲渡とは異なります。また、会社側の適格判定と、株主側で株式の売却益への課税を後へ送れるかの判定は分けて考えます。「適格なら関係する税金がすべてゼロ」とは限りません。

出典

財務省「組織再編税制に関する資料」 ↗
当事法人と株主の課税を区分。株式交換等・株式移転は非適格の場合に時価評価課税

国税庁「No.1527 株式移転により株式を譲渡した場合の譲渡所得等の特例」 ↗
株式移転の意味、旧株の譲渡がなかったものとみなす株主側の条件。会社側の適格判定と区別

法人税法(2026年3月31日時点) ↗
第2条(適格株式移転の定義)、第62条の9(非適格株式交換等の資産の時価評価損益)

適格組織再編

てきかくそしきさいへん

合併や会社分割などのうち、税法上の条件を満たし、資産を移す際の利益や損失の計上を後へ繰り延べる扱いなどが認められるものです。株主関係や、事業を続ける見込みなど、再編の形に応じた条件で判定します。

使用例

会社分割の前に、移す事業と株主関係を整理し、適格組織再編の条件を確認する。

間違えやすい点「適格」は税務上の区分であり、法律上の手続きが正しいという認定ではありません。税金が永久に免除される意味でもなく、再編の種類や、会社と株主(株を持つ人)それぞれで扱いを確認します。

出典

財務省「組織再編税制に関する資料」 ↗
経済実態の継続を踏まえた課税繰延べの基本的考え方。現行の個別要件・数値は本文へ転用しない

国税庁 税務大学校論叢「組織再編税制における移転資産に対する支配の継続性及び株主の投資の継続性に関する一考察」 ↗
基本的考え方・適格組織再編成と譲渡損益の繰延べ

適時開示

てきじかいじ

上場会社が、投資判断に重要な会社情報を取引所のルールに従って速やかに公表することです。買収や合併の決定、重大な出来事、決算などが対象になります。投資家へ公平に知らせるため、TDnetという情報伝達システムなどを通じて行います。

使用例

買収の決定について、取引所のルールに基づく適時開示が必要か確認し、公表資料を準備する。

間違えやすい点有価証券報告書などの法定開示と、根拠となる制度が異なります。また、自社サイトへの掲載や一部の取引先への説明だけで適時開示を済ませたとは限りません。対象情報と公表の時期・方法を確認します。

出典

日本取引所グループ「適時開示制度の概要等」 ↗
適時開示の意義・法定開示との関係・TDnet利用上の注意

適正市場価値

てきせいしじょうかち

十分な情報を持ち、売買を強いられていない売り手と買い手が、通常の市場取引で合意すると考えられる価値です。FMVとも呼ばれます。会社や資産の内容、収益力、市場環境などを踏まえて見積もり、取引価格を検討する手掛かりにします。

使用例

買収候補の適正市場価値を見積もったうえで、自社だけが見込める連携効果を別に検討する。

間違えやすい点帳簿に載った金額や、実際に合意した価格と必ず一致するものではありません。特定の買い手だけが得られる効果を含む投資価値とも区別します。市場価値と、誰にとっての価値かを分けて考えることが大切です。

出典

米国内国歳入庁「Publication 561」(2025年12月版) ↗
What Is Fair Market Value (FMV)?:情報を持ち強制されない売り手・買い手による市場取引の定義。一般概念の参考として使用し日本の税法上の評価額と同一視しない

KPMG「バリュエーション(取引目的・会計目的)」 ↗
公正市場価値(Fair Market Value)による価値評価と、投資価値(Investment Value)分析の区別

敵対的買収

てきたいてきばいしゅう

買収される会社で経営上の重要事項を決める取締役会の賛同を得ずに進める買収を指す呼び方です。株を持つ株主へ直接売却を呼びかけるなどして、経営権の取得を目指します。経済産業省の指針では「同意なき買収」と表現しています。

使用例

敵対的買収と呼ばれる提案でも、取締役会の意見と買収条件の内容を分けて読む。

間違えやすい点「敵対的」という呼称だけで違法、不当、株主に不利と決まるわけではありません。会社の取締役会の賛同と、株を売る株主の判断は別であり、提案内容を具体的に確かめます。

出典

経済産業省「企業買収における行動指針」 ↗
2023年8月31日・1.4 用語の意義、第2章 原則と基本的視点、第5章 買収への対応方針・対抗措置

経済産業省「公正な買収の在り方に関する研究会」第1回資料4 ↗
2022年資料・同意なき買収という中立的表現を使う理由と用語の説明

敵対的買収防衛策

てきたいてきばいしゅうぼうえいさく

経営上の重要事項を決める取締役会が賛同していない買収などに対し、会社が備える方針や対抗措置の呼び方です。株主が判断するための情報や時間を確保する手続きや、株を取得できる権利を配る措置などがあります。

使用例

敵対的買収防衛策の説明を読み、導入の目的と株主の判断をどう反映するかを確認する。

間違えやすい点対応する方針を決めることと、実際に対抗措置を行うことは別です。経済産業省の指針では「買収への対応方針・対抗措置」と呼び、措置が必要か、内容が過剰でないか、株主の意思などを重視しています。

出典

経済産業省「企業買収における行動指針」 ↗
2023年8月31日・1.4 用語の意義、第2章 原則と基本的視点、第5章 買収への対応方針・対抗措置

東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月11日)」 ↗
原則1-5 いわゆる買収防衛策・経営陣の保身を目的としないこと、必要性・合理性、適正な手続き

出口戦略

でぐちせんりゃく

別名・英字:出口

創業者や投資家が、保有株式の売却などによって投資したお金を回収したり、事業を次の担い手へ引き継いだりする道筋を考えることです。M&Aによる売却やIPOなどを選択肢に、実現時期や必要な準備、会社の成長方針を検討します。

使用例

将来の出口戦略としてM&AとIPOを比較し、株主構成や必要な経営体制を検討する。

間違えやすい点会社を廃業する計画だけを意味しません。M&A後も事業が続く場合があります。また、IPOで上場しただけで株主の全投資額が現金化されるわけではなく、株式の売却などを通じて回収します。

出典

経済産業省公表「2023年度調査報告書」 ↗
3.1.10 出口戦略:IPOと自社又は一部事業のM&A売却

特許庁「令和6年度 産業財産権制度問題調査研究報告書」 ↗
EXITとしてのM&Aに関する調査:研究開発型スタートアップの出口戦略

手数料

てすうりょう

M&Aの候補探しや交渉支援などのサービスを受ける対価として、支援会社などに支払うお金です。依頼時の着手金、月ごとの報酬、途中の中間報酬、取引が成立した際などの成功報酬といった種類があります。

使用例

支援会社を比べるときは、手数料の総額と、各報酬が発生する時点を確認する。

間違えやすい点会社や事業を買う代金とは別に負担する費用です。成功報酬だけを比べず、計算の基準、最低額、消費税、実費の扱いまで見ます。料金の形や金額は支援会社と依頼契約によって異なります。

出典

M&A支援機関登録制度「手数料の簡易計算」 ↗
着手金・月額報酬・中間金・成功報酬、報酬基準額と最低報酬

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章Ⅴ 手数料についての考え方、第2章 手数料の説明

デット

でっと

借入金や社債など、返済義務を伴う資金・負債を指す言葉です。英語のDebtに当たります。資金調達の話では、株式発行による出資であるエクイティと対比します。M&Aでは、買収資金の借入れや対象会社が負う借金を確認するときに使います。

使用例

買収資金を、デットとエクイティでどのように組み合わせるか検討します。

間違えやすい点デットは銀行借入れだけに限りません。また、会社にお金が入る点は出資と同じでも、返済や利息などの負担があります。「ネットデット」のように手元資金を差し引いた金額かどうかも、資料ごとに区別します。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「外部資金調達」 ↗
デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンス、元利金返済義務

一橋大学大学院経営管理研究科「企業価値」 ↗
有利子負債と純有利子負債の定義差

デット・エクイティ・スワップ

でっとえくいてぃすわっぷ

別名・英字:DES/デットエクイティスワップ/債務の株式化

会社の借金などを、その会社の株式に換える仕組みです。DESと略し、「債務の株式化」ともいいます。貸していた側は、返済を受ける債権者から株主へ変わります。会社の返済負担や財務状態を見直すため、事業再生などで検討されます。

使用例

返済負担の見直し策として、デット・エクイティ・スワップを債権者と協議します。

間違えやすい点会社が自由に借金を消せるという意味ではなく、合意や所定の手続が必要です。貸し手は株式の値下がりリスクも引き受けます。借金を別の条件の借金へ変えるデット・デット・スワップとは異なります。

出典

中小企業庁「財務課題解決」 ↗
VI 資本構成の最適化:債務の株式化(Debt-Equity Swap)

中小企業庁「協議会スキームに係る税務上の取扱い」 ↗
債権放棄及び債務の株式化の税務上の取扱い

デット・デット・スワップ

でっとでっとすわっぷ

別名・英字:DDS

会社が負う既存の借入れを、返済順位が低い劣後ローンなど、性質の異なる借入れに組み替える仕組みです。DDSと略します。事業再生では、金融機関の評価上、資本に近い性質を持つ借入れへ転換し、財務基盤を支える方法として使われます。

使用例

既存借入れの一部を、デット・デット・スワップで資本性のある劣後ローンへ変えます。

間違えやすい点株式へ換えるDESと違い、組替え後も借入金です。返済義務がなくなるわけではありません。金融機関の評価上、資本に近く扱えるかは条件によるため、会計上の負債と区別して確認します。

出典

金融庁「挑戦する中小企業応援パッケージを踏まえた事業者支援の徹底について」 ↗
信用保証付きDDS:信用保証付債権の一部を資本的劣後債権へ転換する取扱い

金融庁「アクセスFSA 第15号」 ↗
DDSの基本概念:貸出債権を資本的劣後ローンに転換(沿革のみ参照)

デッドハンド型買収防衛策

でっどはんどがたばいしゅうぼうえいさく

別名・英字:デットハンド型買収防衛策

株主が取締役の過半数を入れ替えても、新しい経営陣が廃止したり、発動を止めたりできないようにする買収防衛策の類型です。経営陣を交代させる株主の判断まで効きにくくなるため、株主の権利との関係が問題になります。

使用例

デッドハンド型買収防衛策の解説で、取締役を交代させた後も防衛策を止められない点を確認する。

間違えやすい点単に防衛策の有効期限を長くする話とは違います。東証の上場制度では、株主の権利を不当に制限するこのような仕組みは上場廃止の対象とされています。一般の買収防衛策と同じように自由に導入できるとは考えません。

出典

日本取引所グループ「買収への対応方針等に係る上場制度」 ↗
「デッドハンド型のライツプランの導入」:定義・上場制度上の取扱い

デットファイナンス

でっとふぁいなんす

銀行からの借入れや社債の発行など、返済義務を伴う形でお金を集める方法です。資金を出す側は債権者となり、会社は契約に沿って返済や利息の支払いを行います。M&Aでは、買収代金や買収後の事業資金をどう用意するか検討するときに使います。

使用例

買収資金の一部を、銀行借入れによるデットファイナンスで用意します。

間違えやすい点株式発行による出資の受入れとは、返済義務などが異なります。一般に持株割合を直接変えずに資金を集められますが、返済負担や契約条件を伴います。転換社債など、後に株式へ換わる可能性のある商品も区別します。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「外部資金調達」 ↗
デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンス、元利金返済義務

デットマンズトリガー

でっとまんずとりがー

日本語の一部のM&A用語集で、買収を仕掛けられた会社が、逆に相手の会社を買収しようとする対抗措置を指す呼び名です。逆買収やパックマン・ディフェンスとも呼ばれます。過去の買収戦術の資料を読むために掲載しています。

使用例

買収防衛の資料に出てくるデットマンズトリガーを、相手への逆買収を検討する戦術として読む。

間違えやすい点法令で定められた制度名ではなく、表記には「デッドマンズトリガー」もあります。取引を実行するには資金や法的な手続が必要で、買収を仕掛けられたというだけで、相手を自由に買えるわけではありません。

出典

ストライク「デットマンズトリガー」 ↗
日本語での呼称・逆買収との対応を確認するための資料

野村證券「パックマン・ディフェンス」 ↗
金融機関自身の用語説明:買収者へ逆に買収を仕掛ける対抗措置・資金面のリスク

デューデリジェンス

でゅーでりじぇんす

別名・英字:DD/デュー・デリジェンス/買収監査

会社や事業を買う前に、利益や借金、契約、税金、働く人の状況などを詳しく調べることです。資料や説明が実態と合うかを確かめ、買うかどうかの判断や価格、引継ぎ条件の検討に役立てます。

使用例

デューデリジェンスで、契約一覧と未払いの給料がないかを確認する。

間違えやすい点DDと略し、買収監査とも呼びます。毎年の決算書が会計のルールに沿うかを見る会計監査とは目的が異なり、買収の判断に必要な事業や契約なども調べます。

出典

日本政策金融公庫「事業を譲り受けたい方」 ↗
5.デューデリジェンス・資料の信ぴょう性、未払残業代などの調査項目

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章 中小M&Aの進め方、用語集

登記

とうき

会社や不動産などの重要な情報を、法務局が扱う公の記録に載せる制度です。会社の登記では、会社名、本店、代表者などを記録して取引相手が確認できるようにします。M&Aでは合併や代表者の変更などに関わります。

使用例

買収後に代表取締役が変わるため、変更の登記に必要な書類を準備する。

間違えやすい点会社のすべての情報が載るわけではなく、定款そのものや株式売買の条件は登記されません。通常、株式会社の株主が変わるだけでは登記しないため、株主名簿など別の記録も確認します。

出典

法務省「商業・法人登記」 ↗
商号・所在地・役員氏名等を公示する制度、取引の安全と円滑

e-Gov「会社法」 ↗
第911条:株式会社の登記事項、第121条:株主名簿

当期純利益

とうきじゅんりえき

ある会計期間の収益から費用や税金などを差し引いた、最終段階の利益です。損益計算書に表示され、会社がその期間にどれほどの利益を計上したかを確認します。M&Aでは、利益の推移だけでなく、何によって生じた利益かも調べます。

使用例

当期純利益の増加が、本業の成長か一時的な売却益かを確認します。

間違えやすい点本業の利益である営業利益とは異なり、一時的な損益なども影響します。また、その金額だけ現金が増えたとは限りません。連結決算では、親会社株主に帰属する利益と、非支配株主分を含む利益も区別して読みます。

出典

一橋大学大学院経営管理研究科「財務諸表」 ↗
損益計算書の利益・利息・税金、現金収支との違い

一橋大学大学院経営管理研究科「ROE」 ↗
親会社株主に帰属する当期純利益と株主資本の関係

倒産

とうさん

会社などが資金の支払いや事業の継続に行き詰まった状態を広く指す言葉です。法律上の一つの手続名ではなく、破産などの清算の手続に進む場合も、民事再生などで事業の立て直しを目指す場合もあります。M&Aを使って事業を残す選択肢も検討されます。

使用例

取引先の倒産に備え、売掛金の回収見込みと事業を引き継げる可能性を調べる。

間違えやすい点赤字、債務超過、倒産は同じ意味ではありません。また、倒産すれば必ずすべての事業が消えるというわけでもなく、会社をどう処理するかと、事業を誰が続けるかを分けて考えます。

出典

裁判所「破産・再生」 ↗
破産・通常再生・会社更生・特別清算の手続一覧

内閣府「地域の経済2020 第2節 倒産・廃業と開業」 ↗
注1:倒産は法律用語ではなく、法的・私的倒産の集計定義に差がある点

投資

とうし

将来の利益や事業の成長などを期待して、今あるお金などを使うことです。株式を買うほか、工場の設備を増やす、新しい事業へ出資することも投資に当たります。M&Aでは、支払う代金と、取得後に得られる成果を比べる視点として登場します。

使用例

買収を一つの投資として捉え、代金と追加資金に見合う成果を検討します。

間違えやすい点お金を使えば必ず利益が得られる、という意味ではありません。回収できる金額や時期は予測であり、損失の可能性もあります。事業への設備投資と、株式などの金融商品への投資では、確認する対象や権利が異なります。

出典

金融庁「4『貯める・増やす』〜資産形成」 ↗
掲載pp.12〜14及び19:リスクとリターン、預金と投資、投資と経済活動

一橋大学大学院経営管理研究科「財務諸表」 ↗
資金投下活動及び設備投資

投資銀行

とうしぎんこう

企業のM&Aや、株式・債券を使った資金調達などを支援する金融機関、またはその業務を担う部門を指します。買収条件や企業価値への助言、株式・債券の発行支援などが主な仕事です。日本では証券会社などが投資銀行業務を提供しています。

使用例

海外企業の買収について、投資銀行に助言と資金調達の支援を依頼します。

間違えやすい点名前に銀行とあっても、預金や一般的な融資だけを行う機関という意味ではありません。また、自ら会社へ投資する投資ファンドとも役割が異なります。支援範囲や、誰のために助言する契約かを確認します。

出典

野村ホールディングス「インベストメント・バンキング」 ↗
株式・債券の引受、M&Aアドバイザリー等の投資銀行サービス

一橋大学大学院経営管理研究科「M&A」 ↗
投資銀行などによる情報伝達・取引の助言

投資事業有限責任組合

とうしじぎょうゆうげんせきにんくみあい

投資家から出資を集め、企業などへ共同で投資する法律上の仕組みで、LPSともいいます。運営を担い組合の借金などに制限なく責任を負う無限責任組合員と、原則として出資額の範囲で責任を負う有限責任組合員で構成されます。

使用例

ファンドの投資事業有限責任組合契約で、運営者と出資者の役割を確認します。

間違えやすい点組合自体は株式会社ではなく、法人格を持ちません。また、名称に有限責任とあっても全員が有限責任ではありません。有限責任組合員にも投資損失の可能性があり、出資金の回収が保証される制度ではありません。

出典

経済産業省「投資事業有限責任組合(LPS)制度について」 ↗
制度概要:法人格、無限責任組合員(GP)と有限責任組合員(LP)

e-Gov法令検索「投資事業有限責任組合契約に関する法律」 ↗
第3条・第7条・第9条:組合契約、業務執行、組合員の責任

投資ファンド

とうしふぁんど

投資家から集めた資金などを、決めた方針に沿って企業や不動産などへ投資し、成果を分配する仕組みです。M&Aでは、会社の株式を取得し、経営改善や成長を支援するファンドなどが買い手になります。何にどのように投資するかはファンドごとに違います。

使用例

買い手の投資ファンドに、投資方針と買収後の経営支援の内容を確認します。

間違えやすい点ファンドの資金と、運営会社自身のお金は区別します。また、投資ファンドがすべて短期売買をしたり、すべて経営を担当したりするわけではありません。投資期間や売却方針、運営者と出資者の役割を確認します。

出典

金融庁「ファンド関連ビジネスを行う方へ」 ↗
I「集団投資スキーム(ファンド)とは何か」

経済産業省「投資事業有限責任組合(LPS)制度について」 ↗
ファンドの組合形態・モデルLPAの目的

独占禁止法

どくせんきんしほう

会社などが公正で自由な競争をできるようにする法律です。競争相手と価格を取り決める行為などを規制します。M&Aでも、同業者が一体となることで顧客の選択肢が減るなど、競争を大きく妨げないかが問題になります。

使用例

同業企業の買収に当たり、独占禁止法上の届出と競争への影響を確認する。

間違えやすい点大企業の合併をすべて禁止する法律ではありません。取引の形や市場への影響などに応じて判断され、事前の届出が必要かという手続きと、競争を妨げるかという中身の検討は分けて考えます。

出典

公正取引委員会「よくある質問コーナー(独占禁止法)」 ↗
独占禁止法の目的、企業結合の規制と届出

公正取引委員会「企業結合審査ガイドブック」 ↗
独占禁止法の中での企業結合審査の位置付け。届出閾値は本文に不使用

独占交渉権

どくせんこうしょうけん

一定の期間、売り手が他の買い手候補と同じ売却の交渉をしないと約束することで、特定の買い手候補が得る権利です。買い手が費用と時間をかけて調査し、条件を詰めるため、基本合意書などで取り決めます。

使用例

独占交渉権の期間内に調査を終えられるかを確認し、基本合意書へ期限を記載する。

間違えやすい点仲介会社などを一社に絞って依頼する専任契約とは別です。売買そのものを必ず実行する約束でもなく、期間、禁止する交渉の範囲、解除条件などは実際の合意内容で決まります。

出典

日本政策金融公庫「事業を譲り受けたい方」 ↗
4.意向表明・基本合意・独占交渉権の付与と有効期間

中小企業庁「中小M&Aガイドライン 参考資料・基本合意書サンプル」 ↗
第5条「独占的交渉権」・有効期間中に他者と交渉しない条項の例

特定承継

とくていしょうけい

売買などによって、特定の財産や契約上の権利・義務を個別に引き継ぐことです。M&Aでは事業譲渡が代表例で、設備、取引契約、雇用などについて、何をどの方法で引き継ぐかを一つずつ確認します。

使用例

事業譲渡は特定承継なので、引き継ぐ契約と相手の同意が必要なものを一覧にする。

間違えやすい点合併などで権利・義務をまとめて引き継ぐ包括承継と異なります。事業を買えば借金、雇用、許認可まですべて同時に移るという意味ではなく、それぞれの法律や契約に従って移します。

出典

厚生労働省「営業譲渡等に伴う労働関係上の問題への対応について」 ↗
営業譲渡の権利義務関係の承継は特定承継との説明。一般概念のみ参照し、現行指針の細部は転用しない

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章・事業譲渡と手法ごとの特徴

特定目的会社

とくていもくてきがいしゃ

別名・英字:TMK

「資産の流動化に関する法律」に基づく会社で、TMKとも呼びます。あらかじめ決めた計画に沿って、不動産などを取得するお金を投資家等から集め、その資産が生む収入などを支払いに充てる仕組みに使われます。

使用例

不動産を取得する特定目的会社について、資産の運用計画と資金の集め方を確認する。

間違えやすい点特定の目的に使う会社なら、すべてTMKになるわけではありません。SPCという広い呼び名の中の、特別な法律に基づく形です。会社の設立だけでなく、資産流動化計画や業務の届出など、法定の仕組みを確認します。

出典

金融庁「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律」参考資料(2011年5月) ↗
9頁「資産流動化スキームに係る規制の弾力化」:計画に基づく資金調達、資産取得、収入の分配とTMK。2011年改正の個別条件は使用しない

資産の流動化に関する法律(2026年3月31日時点) ↗
第2条(特定資産・資産流動化・特定目的会社の定義)、第4条以下の業務開始届出等

特別決議

とくべつけつぎ

株式会社の株主総会で、定款の変更など重要な事項を決める、通常より厳しい決め方です。原則として、その議案に投票する権利(議決権)の過半数を持つ株主が出席し、出席者の議決権の3分の2以上の賛成で決めます。

使用例

定款を変更するため、特別決議の出席条件と賛成に必要な議決権を確認する。

間違えやすい点「全株主の3分の2が出席すればよい」という意味ではありません。出席が必要な割合と、出席者の中で賛成が必要な割合は別です。定款で条件を変更できる範囲があり、議案によって別の要件が加わる場合もあります。

出典

会社法(2026年3月31日時点) ↗
第309条第2項(株主総会の特別決議)、第466条(定款の変更)

日本取引所グループ「売買単位の統一に関するQ&A」 ↗
株式併合に係る株主総会特別決議と会社法第309条第2項。売買単位移行の過去の日程は使用しない

特別買収目的会社

とくべつばいしゅうもくてきがいしゃ

別名・英字:SPAC

会社を買収するため、具体的な買収先を決める前に上場して資金を集める会社です。SPAC(スパック)とも呼びます。自らは事業を持たず、上場後に相手を探し、買収・合併を通じて相手の事業を営む上場会社になる仕組みです。

使用例

海外の特別買収目的会社との合併を検討し、上場後の経営体制と投資家保護の条件を確認する。

間違えやすい点一般の買収用SPCが、必ず先に上場するわけではありません。SPACの制度や投資家保護の仕組みは国・市場によって異なり、日本でも海外と同じ形で当然に上場できるという意味ではありません。

出典

日本取引所グループ「日本取引所金融商品取引法研究 第28号」(2025年3月) ↗
「SPAC制度の在り方について」32〜33頁(PDF34〜35頁):SPACの一般的なスキーム。外国制度の期間・金額は本項目で使用しない

東京証券取引所「SPAC制度の在り方等に関する研究会」 ↗
2021〜2022年の研究会と投資者保護上の論点整理。国内導入の検討と海外制度を区別

特別目的会社

とくべつもくてきがいしゃ

別名・英字:SPC

特定の取引や事業のために用意する会社です。SPCとも呼びます。M&Aでは、買収する株式を持ち、出資や借入れを集める受け皿として使うことがあります。通常の事業会社とは別に、取引の目的に合わせて設けます。

使用例

買収用の特別目的会社を設立し、資金を集めて対象会社の株式を取得する。

間違えやすい点SPCは会社の目的に着目した呼び名で、法律上の一種類の会社名ではありません。株式会社や合同会社などが使われます。資産流動化法に基づく「特定目的会社(TMK)」とは、名前が似ていても範囲が違います。

出典

国土交通省「公的不動産(PRE)の民間活用の手引き」説明資料 ↗
2017年5月説明資料、第1部第3章・14頁:TMKスキームと合同会社・匿名組合スキームで異なる法人形態がSPCとなる説明。旧制度の数値は使用しない

日本政策投資銀行「LADVIKのMBOに係る協調融資を実施」 ↗
特別目的会社(SPC)が融資を受け、対象会社の全株式を取得する実例

匿名組合

とくめいくみあい

出資者が営業者の事業にお金などを出し、その事業から生じた利益を分配してもらう契約に基づく仕組みです。商法に定めがあり、投資ファンドなどで使われます。出資した財産は営業者の財産となり、匿名組合員は営業者の業務を執行しません。

使用例

匿名組合契約で、営業者の事業内容と利益分配、損失の取扱いを確認します。

間違えやすい点名前を隠して自由に事業をする制度、という意味ではありません。株主になる契約とも異なり、出資金や利益の回収も保証されません。誰が資産を持ち、業務を行い、どの情報を出資者へ報告するかを確認します。

出典

e-Gov法令検索「商法」 ↗
第535・536・538・539・542条:契約、出資財産、業務執行、利益配当及び返還

経済産業省「投資事業有限責任組合に関するFAQ集(2024年9月改訂)」 ↗
問11:営業者と匿名組合員の契約・対象財産の所有

毒薬条項

どくやくじょうこう

別名・英字:ポイズンピル

一定の買収に対し、買収者以外の株主が新たに株式を得られる権利などを用い、買収者の持株割合を下げることで買収を難しくする仕組みです。ポイズンピルとも呼ばれ、買収防衛策の一つです。日本では新株予約権を使う方法などがあります。

使用例

買収防衛策を調べる際、毒薬条項が発動する条件と株主への影響を確認する。

間違えやすい点毒薬条項は買収防衛策全体の別名ではなく、一つの手法です。導入すればどんな買収でも止められるわけではありません。企業価値や株主の利益を守る必要性、株主の意思、措置の妥当性などが問題になります。

出典

国税庁「新株予約権を用いた敵対的買収防衛策の新類型に関する原則的な課税関係」(2005年7月7日) ↗
ポイズンピル(毒薬条項)としてのライツプラン。名称・仕組みの根拠のみ参照し税務上の結論は本文に不使用

経済産業省「企業買収における行動指針」(2023年8月31日) ↗
第2章の基本原則、第5章の買収への対応方針・対抗措置

土地保有特定会社

とちほゆうとくていがいしゃ

相続税や贈与税の非上場株式評価で使う会社の分類です。会社の総資産の評価額に占める土地などの評価額が、一定の割合以上となる会社を指します。自社株を相続・贈与するとき、通常の会社と同じ評価方法でよいか確認するために判定します。

使用例

自社株の相続税評価に当たり、土地保有特定会社に該当するか確認します。

間違えやすい点不動産会社だけを指す言葉でも、土地を持つ会社すべての呼び名でもありません。具体的な判定や株式の評価は、会社の区分や株主の立場などで変わります。M&Aの売買価格をそのまま決める分類ではありません。

出典

国税庁「No.4638 取引相場のない株式の評価」 ↗
対象税目及び「特定の評価会社の株式の評価」(3)土地保有特定会社

国税庁「令和6年分 確定申告書等作成コーナー:取引相場のない株式の評価」 ↗
特定の評価会社(3):土地等の保有割合に基づく分類

トップ面談

とっぷめんだん

別名・英字:トップミーティング

売り手と買い手の経営者などが直接話し、事業への思いや経営方針を確かめる場です。会社の歴史、従業員への考え方、引継ぎ後に実現したいことなどを伝え合い、交渉を進める相手として理解を深めます。

使用例

トップ面談で、従業員の雇用をどう守り、事業をどう育てるかを話し合う。

間違えやすい点価格を決める交渉や、資料を詳しく調べる買収監査とは役割が異なります。質問への回答を得るだけでなく、双方の方針や人柄を知る機会であり、一度の面談だけで終わるとは限りません。

出典

日本税理士会連合会「トップ面談、基本条件の交渉」 ↗
M&A各ステップ・双方の経営の考え方や要望を話す場

中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」 ↗
2024年8月・第1章 中小M&Aの進め方、用語集

ドラッグアロング

どらっぐあろんぐ

株を売ると決めた株主などが、契約で定めた条件を満たす場合に、他の株主にも同じ買い手へ株を売るよう求められる権利です。強制売却権などと呼ばれ、複数の株主の株をまとめて譲渡するために定めます。

使用例

会社の全株式を譲る交渉で、ドラッグアロングを使える条件と売却手順を確認する。

間違えやすい点タグアロングは自分が一緒に売る機会を求める権利で、他人の売却を求めるドラッグアロングと異なります。株を多く持つだけで当然に生じる権利ではなく、契約の条件に従います。

出典

日本公認会計士協会「種類株式の評価事例」 ↗
2013年11月6日・Ⅱ2(3) 株主間契約等、本文p.8 ドラッグ・アロング・ライト、共同売却権

クレア法律事務所「創業株主間契約書」 ↗
8 事業売却時の対応・ドラッグアロング(強制売却権)とタグアロング(共同売却権)

資料確認:2026年11月1日 / 試験の法令・制度基準日:2026年3月31日
用語は学習用に要約しています。税務・法務の具体的な判断は、適用時点の法令・契約・個別条件を確認してください。

収録範囲と編集方法

日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、かえでファイナンシャルアドバイザリーの用語索引・記事索引と照合しました。た行の読みを持つ英字略語も収録し、同じ意味の表記はまとめています。旧制度や外国の呼称は、現在の日本の手続と区別して説明しています。説明文と使用例は独自に作成し、出典は各項目に示しています。すべての競合サイトや、試験の全論点を網羅したという意味ではありません。

先頭へ ↑

コメント

タイトルとURLをコピーしました